野口卓

文春文庫

2015年9月発行

 

野口さんのご隠居さんシリーズ

前回はこちら

 

とてもとても良かったので続きを借りてきました。

梟助じいさんの過去が1冊目の最後で明らかになったので・・

続きはどうなる?って思ってたのですが・・

普通に続いてますねえ・・

 

前回説明しなかったのですが・・

鏡って・・昔は青銅のものがほとんどで・・

磨かないと少しずつ曇ってしまうんですね。

で、鏡磨ぎという職業があり・・

 

能登や氷見には旅稼ぎの鏡磨き師たちがいて。

親方と数人の子方で組を作り、夏と冬の農閑期にそれぞれ2ヶ月以上

年に4月半くらい、決まった地域を廻ります。

それとは別に江戸のような大きな町では、梟助のように1人で得意先を廻る磨ぎ師が。

磨ぎ賃が安いので働き盛りの壮年や青年はやろうとしない。

資本がかからず道具も少ないため老人の小遣い稼ぎに向いてます。

 

梟助は

「鏡磨ぎ。カガミ・トギー。ピッカピカに磨ぎます磨きます。

いくら自慢のお顔でも、鏡が曇れば映りません」

と独特の呼び声で言って街中を廻るのです。

 

さてさて、今回のお話も5つ。

最後が題名の「心の鏡」です。

旗本の家で古い古い鏡を磨くことになります。

 

3つ目の「婦唱夫随」では猫がテーマ。

仲良し夫婦のところで鏡磨ぎをしながらおしゃべり。

猫は人間の言葉がわかるのか?

人間の言葉を話せるのか?

という話題になり・・梟助じいさんが蘊蓄を語ります。

まあ、落語や小噺がほとんどですが・・

 

いや、ほんとにどれも深く良い話ばかり。

落語もたっぷり出てきますし・・

梟助さんは話すのも上手いけど、聞くのも上手。

他の人には話さない話もついつい・・

もちろん最初の話にあった通り・・

絶対に他の人には漏らさない(三猿)という前提と信頼があるからこそ、ですが。

 

ちなみに参考文献もたくさん載ってます。

 

時代小説と落語が好きな方は是非、是非!