k1228kさんのブログ -2ページ目

ままごと

私が出来る仕事と言えば 水商売  彼は建築現場で働いた 
それもこれも大家さんの世話になって始めた仕事だった


『行ってらっしゃい』
『行って来ます』

当たり前の様に手を振って送り出す 

つい数日前まで 中学生だった彼がお弁当を下げて仕事場に迎う 
私も一生懸命お弁当を作った 
料理など全然出来ない下手過ぎるお弁当を彼は何も言わず いつも平らげてくれていた

狭い部屋の掃除はあっという間に終わる 
【赤いスイトピー】を聴きながら… 
時々海を眺めながら彼の帰りをただ待っていた 


彼が帰って来るのは
夕日がキラキラする時間
私はその時間がとても好きだった


遠くから彼の歩く姿が見える
『お帰りなさ~い』
飛び付いてkissをする  『ただいま』ちょっと照れ笑いしながら優しく抱き締めてくれる

彼はまだ15才…
それでも私には立派な愛する男になっていた 


波打ち際歩いて帰ったね 何もない通りにぽつんと建った喫茶店【R】…

HOTココア 二人ともお気に入りになって時々行った 
ささやかな贅沢だったのかもしれない 


部屋にお風呂が無かった為銭湯に通った 
銭湯なんて 子供の頃に親戚の伯母さんに連れられて行った記憶しかかった私は 長居出来ずにいつも先に上がってた 
側に有る自販のジュース飲みながら


お風呂が終われば今度は私が出かける支度 

『あれ~?若い子入ったね~!いくつ?ホラこっちおいで』 
と日焼けで黒光りした顔をしたおじさん達が声を掛けてくる
数か月に一度顔を出すどこかの漁師さん達だった
『18です』と私

『ダメだょ!まだ慣れてないんだから』
店のママが冗談混じりに客をあしらいながら笑い合っていた 

『飲みな』私は初めてお酒を口にした…
『なんだ~飲めるんじゃない』 

思ったほど不味くは無かったけど美味しくも無かった
お酒は何とかなったけど 客のエロ話はさすがについて行けなかった そんなに酔った覚えも無いが 何を話したのか特に覚えてもいない 
何時間経ったんだろう
『お疲れさん!大丈夫?』『大丈夫です』
ママは優しい人だった 
ママと言っても都会で働くママとは違っていた 

《近所の親切なおばちゃん》
そんな感じの人だった 
『また明日ね』
『はい お疲れさまでした』

店を出て彼が送って来てくれた道をアパートに向かって歩いた 
ん?…足元がふらつく…
 緊張のせいで分からなかっただけで 私はかなり酔っ払っていた 

『ただいま…』
そっと部屋に入って彼を見る  

彼もまた慣れない仕事をしてクタクタだったんだろう 寝息を立ててぐっすり眠っていた 


そんな生活が一週間も過ぎる頃 
彼は仕事に行かなくなった…
二人で過ごす時間が幼い二人には余りに少な過ぎた そして 私も無断で行かなくなった 



幼い愛

潮風が漂う小さな湊町    
貧乏な駈け落ちにはもってこいの古い小さなアパート   
15才の彼と16才のあたし 年老いた大家さん夫妻は
18才と偽る二人をいとも簡単に住まわせてくれた

近所のデパートに必要最小限の生活用品を買いに出る事にした

布団…
鍋…
炊飯器…

テレビや冷蔵庫 洗濯機は当たり前だけど買えなかった

有りったけの貯金を持ち出して来ても その金額は30万に満たなかった


それでもラジカセだけは買った  彼の好きな松山千春とあたしの好きな松田聖子の曲を聴いていたかったから…


『ずっと一緒に居ような』
『うん… 約束ね』

夕焼けに染まるキラキラした浜辺で

二人は永遠の
……《愛を誓った》……

  

私の歩いたみち

16才… 
 中学を卒業して初めて本気で恋をした   
彼は中学の時からつるんでた一つ年下のカッコイイ後輩 
地元ではちょっと有名な悪だった  
『先輩 今彼氏居るんですか?』
『今?いないよ 居たら普通に一緒に遊ばないでしょ』そう笑うあたしの横で
彼は一呼吸 
『じゃあ 俺と付き合って下さい!』 今迄後輩としてしか見てなかった彼を初めて男として見た瞬間だった  『うん いいよ』簡単に決めた  彼はいっぱいの笑顔で『ヤッター!!ずっと好きでした!』
 ヤンキーな格好した彼が子供の様にスキップさながらのステップで帰って行く後ろ姿今でも忘れられないな…  
彼は卒業間際の三年生
そんな感じで軽く始まった恋だった 

それから毎日の様に一緒にいたね  今度は地元で有名な不良カップルだった 後輩いっぱい引きつれて悪い事も散々した  

私は小さい頃から海が大好きだった
海が見える場所に住みたい私の願い 『一緒に暮らそう』彼がそうつぶやいた
『本当?絶対行きたい!お金少しは有るよ!』子供ながらに一生懸命調べて準備万端
中学を卒業と同時に二人は家出した
本当に子供が考える浅はかな二人だけの世界に飛び出したね  
本当に楽しかったね
これから狂って行く未来なんてあの頃の二人には 知る由も無かったね…