TPP交渉の世界的な拡大など世界中の貿易市場が活発化している現代において、農業分野でも様々な商品が世界中を行きかっております。
アジアの中でもバナナやエビなどといった高級品から、コメや麦といった主食作物まで数多くの種類の農作物が国境を越えての取引が行われています。
本日はアジアにおけるコメの生産と輸出入について論じたいと思います。
特にクローズアップするのが、ベトナムとフィリピンのコメの輸出入の違いです。
フィリピンは面積が約30万平米、人口が9000万人。ベトナムは面積が33万平米、人口は8500万人です。
この、面積的にも人口規模も似通っており、地理的にも近接しているため気候もそれほど変わりません。
しかし、コメの輸出入という観点でみると、ベトナムはASEANの中でも、世界の中でも有数のコメ輸出国であるのに対し、フィリピンはコメを輸入しています。
同じ東南アジアの国で、食文化にもそれほど違いがないにも関わらず、なぜこの差は生まれているのでしょうか。
フィリピンはバナナなどの果物を作っているから、その分コメを生産する農家が少ないのではないかという意見もあるかもしれませんが、ベトナムもコーヒー豆の栽培は世界でもトップクラスの収穫量を誇りますし、天然ゴムの栽培も盛んです。
その答えは、フィリピンとベトナムの地形的な違いにあります。
ベトナムは大陸を流れるメコン川が作る海抜の低いデルタ地帯が続いています。これは、5月から11月にかけてインド洋を渡ってやってくるモンスーン(季節風)が東南アジア大陸に大量の雨を降り注ぎ、山の土が崩れ、川に流れ込み、河川のいたるところで堆積し、河口では大きなデルタを形成しています。このデルタは比較的低平なので水田耕作などに適し、穀倉地帯となっていることが多く、ベトナムでは北部の紅河デルタや南部のメコンデルタが重要な穀倉地帯になっています。
一方、フィリピンは、新期造山帯が作る急峻な地形であり、数多くの小さな島が集まってできた国です。したがって、面積に対する耕作可能地域の割合が少ないのに加え、降雨による土壌の流出がベトナムに比べて圧倒的に多いです。この結果、工作に適した土壌が少ないため、主食であるコメの収穫量も減ってしまっているのです。