欲張りで飽きっぽい。
そんな人間なので
いわゆる職人のように
同じものを延々と
作り続けるということには
向いていないようで
何かしら新しいものを
求めているところがあります。
今のこの業態は
そんな私にぴったりで
同じスプーンを作るにしても
少し形を変えてみたり
お皿にしても
シルエットを変えてみたり
彫り模様を施してみたり
いろんなアレンジを加えることで
マンネリなものつくりにならなくて
いつも新鮮な気持ちで
いられるような気がしています。
全く新しいタイプのものを作るときは
それをどのように作ろうかと
考えている時が一番楽しい時間です。
しかし実際作るときは
楽しさよりも緊張感のほうが強いです。
それは失敗するかもしれないという
スリリングな体験がそう感じさせています。
そして新しいものを生み出すには
自分が思っている以上に
かなりのエネルギーを要するのですが
無の状態から形として作り上げた時は
その要したエネルギー分の大きな喜びが
完成した先に待っているようにも思います。
さて、先日から手掛けていたお玉。
残暑厳しくてなかなか思うようにはかどらず
ようやく形の出来上がり。
大きいのでスプーンに比べて
3倍くらいの時間がかかります。
3倍のエネルギーがかかっているから
3倍の値段にしようかな・・・
と頭の中の人はささやいていますが
そうするとお玉一つが
7000円くらいになってしまいます。
いくら何でも
お玉一つ7000円は無いだろうと
もう一人がささやいて
結局いくらが正解か分からなくなり
値段をつけるのが物を作るよりも
一番難しいことだなあということを
いつも思い知らされます。
こんな感じでおたまじゃくし出来上がり。
黒っぽいウォールナットの方はお鍋用。
土鍋の縁に引っかかって落ちないように
柄を少しカーブさせています。
もう一つの方は普通のお玉。
チェリー材。
どちらも液体ガラスコーティング仕上げで
汚れが付かないように加工していきます。