11月12日土曜日の午後、

「魂の殺人」と言われる性暴力の問題を描く衝撃作・映画『月光』の上映会&トークセッションに行ってきました。

 

失われそうな魂を、つなぎ止めるのは、何なのか―

 

設定は、ピアニストになれずにピアノ教師をしているカオリが、ある夜彼女の教え子の1人である少女の父親に性的暴行を受ける。

カオリには性的被害を受けた忌まわしい過去があり、その記憶まで更に呼び覚まされてしまう。

一方教え子のその少女ユウもまたその父親(カオリを暴行した男)から日常的に性的虐待を受けている。

…といったもので正直に言えば鑑賞後は言葉が出ないと言うか、これでもかこれでもかと突きつけられるあまりにも辛い場面に言葉を失ってしまいました。

中でも私が最も痛々しく感じたのは、少女ユウが救われないようなこの重い現実を日常として淡々と受け入れ、喜怒哀楽を含めた全ての感情を失ってしまったかのような無表情、そしてその沈黙を貫く姿でした。

現実は、ドラマや映画よりももっと深刻で残酷なものなのかもしれませんし、加害者はまったく普通に見える人であることも多いのだろうなと思いました。

 

上映後は小澤監督と、性暴力被害者支援センター北海道(SACRACH)の支援者によるトークセッションでした。

コーディネーター役の弁護士・須田布美子先生からは、性的暴行、被害に遭った女性に性体験があった場合は、両者の「合意」のもとに行われたと主張されることも多く、性的被害を与えた加害者側は、その行為を犯罪だとは思っていないため当然、罪の意識もなくその行為を繰り返す。また性的被害にあった女性が自虐的に性風俗の仕事を自ら選択する場合も少なくはないという複雑な実態等についてもお聞きしました。


トークセッションを通して小澤監督が、キャスティングや演出を含め、どのような意図を持ってこの映画を制作されたのかを知り、私自身がこの映画『月光』をただ単に「暗い映画」として終わらせてしまわずに済んだことは良かったと思いました。

 

{3B106700-7065-459B-8658-494027C94327}

写真左から

コーディネーター役の弁護士・須田布美子先生

小澤雅人監督

パネリストとして参加されていた産婦人科医の堀本江美先生

 

{BF760CB8-6B60-4161-9D45-E0B4526AC7D2}