カウンセリングが始まるまでの時間。
どのくらいかかるだろう。
初めてお申込みがあって、
初めてお目にかかる。
どんなことに困っていて
どうなったらいいと思っているのか。
目の前の困り事から
これまでのいきさつをうかがう。
状況に応じて既往歴や
現在の治療状況や症状を聞き取ったり
アセスメントなんかもする。
それらを踏まえて
今日の時間の使い方
２回目以降あればそれ以降の使い方、
話したいこと、話したくないことは
自分で決めていいこと
なんかを伝える。
こちらから約束事の説明をしたり
始める前に疑問や気がかりがないか
確認したりしながら
本題に入っていく前に場を整える。
そうやって準備をして
カウンセリングが始まる。
初回が終わって
２回目、３回目、と回を重なる。
１か月、３か月、半年･･･
少しずつ自分の内面を探索していく。
最初のうちは「あぁ、そうか」と
いくつかの発見に出合うかもしれない。
だけど。
たいていは途中で壁にぶつかる。
行き止まりのような地点に至る。
そうなると２、３回は
「前回と同じかも」とか
「ちょっと堂々巡りしてるかも」
なんて回が続き始める。
そのころには
それなりに気づくこともあって
申し込んだ頃の苦しさも
そこそこ軽減され
「まぁ、あの頃よりはラクになったかな」
と思えるようになってくる。
正直、期待したほどではないけれど
まぁまぁ得るものはあったかな、
というところまでくる。
「この辺が潮時かな･･･」
なんて感じ始めるのもこの頃。
当初困っていたことに
一応の目途がついて
カウンセリングを ”卒業” していく。
ひと山越えて
以前の生活に戻っていく。
無事に越えられてよかったなぁ、と思う。
この一里塚を迎えたタイミングは
ある人にとっては最終ゴール、
ある人にとっては次のスタート地点、
になり得る。
目の前の困り事に目処がつく、
あるいは
困り事における自分の役割が
理解できてくると
自分の周りで起こるあれこれが
今までとは違ったものに見えてくる。
「なんで？」と困っていたことの
”からくり” が見えてくる。
世の中には
問題が問題でなくなることがあるように、
疑問にも思っていなかったことに対して
疑問が浮かぶようになることだって･･･ある。
カウンセリングが本当に始まるのは
たぶん、ここから。
自分の中で当たり前で、
当たり前と思っていることさえ
気づかないくらい当たり前のことが
ふとした拍子に動く。
「どう考えてもこれしかない」
そんな自分の中の当たり前に
「あれ？」という隙間が生じる。
この小さな「あれ？」は
自分の奥に固く守られた核心に迫る
小さな隙間だ。
見逃してしまいそうな、
実際、見逃してもたぶん問題にならない
小さな引っ掛かり。
それをそのままキープするもヨシ、
そこから新たな探求を開始するもヨシ。
どこまで取り組むか、は
ご本人に決める権利がある。
だから、ひと山越えたとして
あるいは、効果にしびれを切らして
卒業を選択したとしても
すべては正解だ。
それでも。
正解だ、と言いながら
やっぱりちょっぴり思う。
「その先に行ってほしいな」って。
これはたぶん、
私の勝手な思い入れなんだろう。
決めるのは
ご本人にお任せしなければいけない。
だから口出しはしない。
しない自分でありたい。
「その先があると思うよ」
「まだやれることがあると思うよ」
と喉まで出かかっても言わない。
少なくともご本人から
話題として出てくるまでは言わない。
とはいえ、なんとか言わずに
踏みとどまれたとしても
せっかくここまで来たのに
終わりにするのはもったいないな･･･
とどうしてもよぎってしまう。
この余計な一言を言わないことには
きちんと意味があるのだ、と
自分にだけ聞こえる
小さな小さな職業的な拠り所を頼りに
ぐっと飲み込む。
ふぅ。。。
すべては相手の中にある。
正解も、成果も、選択も
すべて相手のものだ。
出過ぎない。
邪魔をしない。
進みたいように進む
その意思を妨げない。
始まるときには始まるし
終わるときには終わる。
そして、
ふたたび始まるときは始まる。
いつでも ”その時” がくれば
”そのように” なるものだから。
どんなときも
それを受け止められたらよいなぁ、
と思います。
カミヤカオリ
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