2022年4月【読書記録】4冊+おまけ2冊 | ひとしずくの純金

ひとしずくの純金

たったひとつのわたしの生き方を見つける旅

 

土曜日の夜
いかがお過ごしでしょうか。

のんびりの人も多いかな。

楽しく過ごしているとよいな
と思います。



さてさて
5月も下旬に入りました。

今月も遅くなっちゃったけど
4月の読書記録参りましょうか!
 

 

 

 

『華氏451度』
レイ・ブラッドベリ 著
伊藤 典夫 訳

ようやく読みました・・・。

ようやく、の意味は

4年前に一度借りて、
いつものように写真まで撮って
そして、読まずに返した・・・

といういきさつのこと。

思い出したり忘れたりしながら
ようやく読んだ今回。

読み始めたらあっという間でした。

おもしろかった、
って言っていいのかな。

哀しみとか
怒りとか
不安とか
絶望とか・・・

どうしようもなく
逃れられない現状がある。

でも、逃れようなんて
思わないほうが、気づかないほうが
平和なのかもしれない。

だけど、物語は動いてしまう。

こんな世界、絶対良くない
あってはならない、と思うのに

心のどこかで
「あー・・・動かないでくれ・・・」
と願ってしまう自分もいて何とも不思議。

羊の心理というか。

自分の中にいる羊が怖がっている。
先に進みたくない恐怖。

中盤までは面白かったな。

後半、なんだろう、なんか
「言いたいこと言って燃え尽きた」
みたいな印象だった。

残りは出版の都合上
オチをつけないわけにいかないからさ、
みたいな感じで。

焚書という行為の問題性自体より
私たちが自主的に書籍から離れている
現代の問題性に目を向けざるを得ない。

誰も本を読むなと言っていないのに
読む人が減っている。

分かりやすいコンテンツが
歓迎されている世の中で

答えが出ない問いや
ぐっと考えないと理解できない何かは

得体のしれないものとして忌み嫌われ
無視されるか排除されてしまう。

安楽で愉快で分かりやすいコンテンツに
自ら溺れてしまう私たち。

焚書などしなくても
そういう安逸なコンテンツを
提供するだけで充分なのだ。

というストーリー。
うぇぇ・・・。

 

しかも、〈おまけ2〉に続く。

うぇぇ・・・。

 



 

 

 

『日の名残り』
カズオ・イシグロ 著
土屋 政雄 訳

あぁ・・・すごくよかった。
これはとても好きだ。

一気に好きになってしまった、
カズオ・イシグロ。

読んでよかった。

最終ページまで
最後の一言まで

とてもよかった。おすすめ。

執事の一人語りが
延々と続くんだけど

(誰に話してるとか、
 どういう状況とか一切説明なし
 ライ麦畑ふたたび!笑)


不思議と耳を傾けさせる語り口。

この辺りは
翻訳がいいせいなのか
判断がつかないけど

執事の世界が
心地よいテンポで展開されていく。

一人語りだから
自分から見えている世界しか
語りようもないのだけれど

この執事が
「語らない部分」の輪郭が
だんだんくっきりしてくる。

もちろん、
あえて避けていることも
あるだろうけれど

基本的には無自覚なまま
本人の意識としては

「できるだけ正直に
 つつみ隠さずお話しております」

のスタンスなのだ。

だから、一層
「語らない部分」が浮かび上がる。

こういう
「語らない」で「語らせる」
組み立てってすごいなぁ。。。

なんだかぎゅーーーっと
心臓を掴まれる感じでした。

私たち心理士は
クライアントの語ることはもちろん
語らないことも聴きます。

語っていることと
語られないこと。

両方とも意味がある。

晩年を迎えた執事が
何をどう思い、気づくのか。

そして、
現実に、未来にどう向きあうのか。

 

 

 

(左)『遠い山なみの光』
カズオ・イシグロ 著
小野寺 健 訳

(右)『浮世の画家』
カズオ・イシグロ 著
飛田 茂雄 訳

『日の名残り』で
火が付いた”イシグロ熱”、

それならば、と
処女作から順番に読み始めました。

まずは左側
『遠い山なみの光』ですね。

『日の名残り』の印象が先だったので
その印象を引きずったまま入り
戸惑ってしまいました。

ちょっと不思議な世界。

ぼんやりと薄暗い
雲をつかむような
どこに向かっているのかはっきりしない
なんとも心もとない世界。

生きる世界がまるで違う
二人の女性が出てくるのだけれど・・・

この二人のやりとりが
おもしろいくらいにかみ合わない。

かみ合わなさ過ぎて
苛立ちさえ覚える。

苛立ちと馬鹿馬鹿しさと
そして、やりきれなさと。

「あぁ、知ってる」

このやりきれなさは
日常のどこにでも落ちているじゃないか。

人は都合のいいことしか
見ていないし、聴いていない。

本当に伝えたいことなど
聴いてなどいのだ。

・・・そんな声が聞こえてくる。

あなたのことを心配している
あなたの幸せを願っている、

そういいながら
人はどれだけ相手のことを
理解しているだろう。

互いの世界が交差する瞬間は
あるのだろうか。


そして、イシグロ作品3冊目
右の『浮世の画家』、

これも日本が舞台。

人が何かに気づき
自身を変えていくというのは

とてもとても時間がかかるし
勇気のいることなのだ。

だけど、それができたとき
何かが手に入る。

・・・そんなことを思わせました。

これもおもしろかったです。

何が言いたいのか分からない、
という声もあるかもしれないけど・・・

そもそも人生なんて
何かを言おうと思って
起承転結を組み立てて生きるわけじゃなし

結果として何かを残すことはあっても
人生の物語なんてたいていは後付けだ。

生きている当人にとって
渦中の時には見えないものがある。

人が変わるとは
そんなに簡単じゃぁないのだ。

変わった、と感動的であれば
オチにもなろうが

変わった、と思わせて
やっぱり変わってねーな(笑)

とがっかりさせられてもなお
未来にはまだ余白があるという希望、

そういうのが人生だよなぁ
などと思ったり。

がっかりしながら
でも、もう一度。

苛立ちながらも
でも、もしかして。

その胆力こそが
最高の肯定なんだろうな。

私は好きだけどな。
 

 

 

 

〈おまけ1〉


『ナイン・ストーリーズ』
D. J. サリンジャー 著
柴田 元幸 訳

先月からの流れで
まだ読んでいなかったよな・・・

と読み始めたら既読でした。

『バナナフィッシュ日和』
の途中まで読んで「おやっ?」と気づく。

ん?・・・この不穏・・・
あ、これ、、、まずい感じ・・・

っていうか、オチ知ってるよ。

とエレベーターのところまできて
確信に変わる。

その次の作品も読んでみたものの
やっぱり既読。

こまったもんだ(笑)。

 

 

〈おまけ2〉

『一九八四年』
ジョージ・オーウェル 著
髙橋 和久 訳

なんとこれも既読。
月に2冊とはなんなんだ。

読み始めて数ページで出合う
あの太文字のフレーズ。

「あちゃぁ・・・読んでる」

しかも、なぜこのタイミングで
読もうと思ったのか不思議。

読み始めるまで
内容を完ぺきに忘れていたのに

どうして『華氏451度』を読んだ月に
予約までして読もうと思ったのか。

本当に不思議すぎる。

私の意識としては単純に

チャンドラー
フィッツジェラルド
サリンジャー

と流れて
(関係あるかないか分からないけど)
村上春樹を読む前に読んでおくか、
くらいに思っただけなのに。

どっかに引っかかってたのかな。
記憶あなどれじ。
 

うぅ・・・む。

 

 


というわけで
なんだか不思議な4月でした。

どれもいい出合いと再会?でした
(再会のほうは予定外だったけど、笑)

本は本を連れてくるっていうのは
ホントだよねぇ。



5月もすでにいい出合いがあります。
みなさんも出合っているかな?

お互いに充実の
読書タイムになりますように。
 

Happy Weekendニコニコ音譜

 

 

 

カミヤカオリ

 

 

 

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