2020年8月【読書記録】7冊(前半) | ひとしずくの純金

ひとしずくの純金

たったひとつのわたしの生き方を見つける旅

 

うっかり読書記録を
忘れていました・・・

もう9月も半ば
けっこう過ぎちゃったね。

さっそく参ります!
8月の読書記録前半です。
 

 

 

 

『黒い雨に撃たれて
 二つの祖国を生きた日系人家族の物語 上・下』
パメラ・ロトナー・サカモト 著

生まれも育ちも広島、
の両親がアメリカへ移住。
 
その地で移民二世として誕生した
5人兄弟を加え
大きな家族となった一家の物語。

タイトルから想像して
原爆のことが多く書かれていると
思ったのですが・・・

原爆投下にまつわる話は
それほどページを割いてはいない。

どちらかというと、
戦争が始まる前から始まった後に

どのように(一世はいわずもがな)
二世が差別されてきたか、とか

日本人と米国人のアイデンティティは
どうなっているのか、とか

そんなことが細かく語られています。

原爆投下に至るまでの戦況を
二世としてどのように見つめてきたか・・・

そのプロセスに比重があって
かなり丁寧に書かれています。

両親ともに日本人なので、
見た目は完全に東洋人。

でも、日本に行ったこともない本人は
完全にアメリカ人のアイデンティティ。

食の好みから考え方や生活習慣
価値観や生き方までアメリカ人なのに

「真珠湾攻撃するなんて
 日本人は何を考えている?」

なんて問いに
どうやったら答えられるっていうんだ。

そんなの知らないよ、
と本人は思っても
”見た目” や ”出自” が許さない。

5人兄弟でも
キャラクターがそれぞれで
困難への立ち向かい方もそれぞれ。

日本人として
日本の軍籍に入る兄弟もいれば

アメリカ人として
日本語の通訳・翻訳として

アメリカ軍に従軍する兄弟もいる。

アメリカ兵として
日本人捕虜への尋問に出向いたら
何年も前に広島で会った知り合いだった、とか。

なかなかに葛藤の多い、
いや、葛藤なんて言葉では
収まらない人生を歩んだのでしょうね。

これをきっかけに
戦争のことも考えたけれど

それ以上に
差別や国体について考えてしまった。

人がどの国に生まれるかは
ほんの偶然にすぎないのに、
それが人生を大きく左右してしまう。

日本に生まれたから
という理由以外に特にきっかけもなく

日本という国に忠誠を尽くす
とは一体どういうことなのか。

日本という国を選んだ記憶はないが
気づけば長年過ごし
結果として選んだことになっている。

日本人だけでなく、
アメリカ人だって、
その他の国の人だって、

愛国心とかいろいろいうけど
そこに明確な理由って
どこまであるんだろうか。

ここに登場する二世たちは
相当に意識的にそれに
向き合わざるを得なかった。

それが幸か不幸か・・・
ご本人のみが知る、でしょうか。

なんとも・・・ため息。
社会契約論、復習しないと?
 

 

 

 

『八月の光
 失われた声に耳をすませて』
朽木 祥 著

広島の物語。

原爆が落ちた日、
原爆から数年後のある日、

さまざまな ”あの日” を
さまざまな人が語る短編集。

子どもも大人も
男も女も

みんな、みんな傷ついた。
心も、身体も、街も深く傷ついた。

あの日にその場にいてもいなくても
いたがゆえに傷つき
いなかったがゆえに傷つく。

ばらばらの視点から語られるけれど

浮かびあがるのは

どれほどの悲しみが刻み込まれたのか
どれほど多くのものが失われたのか・・・

のただ一つだけ。


淡々と書かれているから
読みやすいけれど、

そうではない苦しみが・・・
伝わってくる。

人は感情的に納得しないと、
強く「ダメなんだ」と言えない。

理屈で納得したからといって
必要な時にNOを言えるわけではない。

感情的に絶対にダメだ、と
刻みこまれたとき、

誰に何を言われようとも
ダメだ、と言えるようになる。

感情的な理解を求めるなら
それを知るしかない。
それを体験するしかない。

その必要がね、
後の私たちにはあると思いますよ。
 

 

 

 

『ある晴れた夏の朝』
小手鞠 るい 著

これは面白かった。

失礼ながら・・・
著者のお名前がどうにも
”甘ったるい” 雰囲気で
これまで一切読んでいませんでした。

喰わず嫌い?
なんとなく少女趣味のような気がして
避けていました、ごめんなさい(笑)。

計画したわけでもなく偶然ですが、

上の『黒い雨に撃たれて』と
次の『八月の光』の後に読みました。

この順番が
私には非常に良かった。

アメリカのハイスクールの
男女8人が夏休みの課題として

「ヒロシマ・ナガサキの原爆投下の
 是非をめぐってディベートする」

という物語。

通常、ディベートというのは
個人的な主義主張とは無関係に
あっちとこっちに分けられますが、

この物語では
本人の主張通りに
グループ別けして対話していきます。

原爆肯定派と原爆否定派。

どちらのグループにも
日系の子が混ざっている。

原爆否定派の日系女子が
この物語では主役なんだけど

このディベートを通して
これまでなんとなく「ダメだよね」
と思っていた自分の考えを

確固とした主義・主張にまで
育てていく。

そのプロセスが読めます。

原爆投下までに
どんなことが起こったのか・・・

その辺りも描かれていますが、
前の『黒い雨に・・・』と『八月の・・・』の
知識が役に立ちました。

自分の考えをまとめるというのは
そうそう簡単でないですし、

まして、戦争や原爆というテーマは
感情的になりやすく
みんなでディスカッションしづらい
テーマかもしれません。

でも、だからといって
自分の意見を持たなくてよい
というわけでもないのだよね。。。

語りにくいことを
語れるようになりたい。

判断を保留にしたままの課題に
自分なりの答えを見つけたい。

そういう思いで
夏は戦争にまつわる本を
読むことにしています。

この旅はまだ続きます。
 

 

 

 

『名もなき花たちと
 戦争混血児の家「エリザベス・サンダース・ホーム」』
小手鞠 るい 著

もう一つ、小手鞠作品。

「エリザベス・サンダース・ホーム」
という乳児院のお話。

神奈川県に実在するようです。

戦後まもない頃、
アメリカ兵と日本女性の間には
混血の子が生まれたようです。

ただし、
お父さんがいなくなってしまう。

それは帰国だったり、
そもそも結婚のつもりがなかったり、
あるいは暴力の結果だったり、、、で。

社会全体が貧しい当時、
女性一人では子育てできない。

そういう時代にさらに
混血児という差別要素が加わって

子を生き延びさせるには
”捨て子”しか
選択肢がなくなってしまう。

そんな境遇の乳児たちの
「お母さんになろう」
と決心した女性の物語です。

子ども向けなので
内容自体はさらりと読めます。



それにしても・・・

戦争自体の残酷さと
戦争の周辺に生まれる出来事・・・。

戦争は戦争だけでは
収まらないほど大きな影響を
あちこちに及ぼす。

どれほどの
痛みと悲しみが生まれるのか。。。

それらと天秤にかけられるものが
存在するのか・・・

考えていかないとな、、、
と思います。


というわけで、
読書記録前半は
毎年夏の恒例図書でした。

後半はかなり違う角度から2冊です。
お楽しみに。
 

 

後半はこちら↓

 

 

 

 

 

カミヤカオリ

 

 

 

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