ゆっくり悩めない時代

物事を進めるときの
やり方として

考えてから走るのではなく
考えながら走る

なんて表現があるように

行動とスピードに
価値をおく考え方があります。

完璧であることよりも

タイミングを
逸さないことを優先する

ともいえるかもしれません。

一方で

ゆっくり丁寧に
一歩一歩進むのがぴったりな
仕事もあるわけです。

朝のお弁当づくりは
ササっとお出かけ前に
用意しちゃうのがいいし、

記念日の手料理は
前日から仕込みをして
丁寧に仕上げるかもしれない。

同じ食事の準備でも
用途や目的によっては

速さが優先したり
栄養バランスが優先したり
見た目が優先したり、、、

さまざまです。

私は人生における”悩み”も
これと似ていると思うんです。

一言に”悩み”
といっても

じっくりと腰を据えて
悩むべきことと時があるように

一人で悩むよりは
誰かに質問して
さっさと答えを得たほうが
いい悩みもある。

そして問題は、

その二つを
渦中にいる自分には

なかなか簡単に見極められないこと

だと思います。

時代の要請とでもいうような

”素早い解決”への

無言のプレッシャーもあって

ほうっておけば

悩む時間は無駄、という

方向に流れやすい。

さらに
多くの情報を得られる現代、

何がいいのか
何が自分に合っているのか

情報の取捨選択だけでなく

悩んでいること自体に
ふがいなさや罪悪感を覚え

ポジティブでない自分を責めたり

純粋に”悩む”ということが
できにくい環境なのかなぁ、

なんて思うこともあります。

悩みそのものより

悩みの周辺にまで
わずらわされている

とでもいうような
複雑さを感じることもあります。

あっちを引っ張ると
こっちがもつれる。

まるでこんがらがった
毛糸玉のよう。

コーチングや
カウンセリングに携わって

もう１０年以上になるのですが
いまだに

悩みや問題との付き合い方って
本当にむつかしいものだなぁ、

と思います。

問題を問題として見ず
軽視しすぎるのもよくないし

問題にとらわれて
実際以上に大きく
見過ぎるのもよくないし

そのかかわり方は
解決の方向も左右する
大事なものだと思います。

何より、
人生から悩みや問題が
完全になくなることはない以上、

上手な悩み方

を身につけるのは
案外、大事なスキルではないか

と思うようになってきました。

悩むこと自体は

人生を豊かにするし

人間としての奥行きを与える

ポジティブな面があると思います。

ですが、

悩まなくていいことにまで

煩わされてしまえば

豊かにするどころか

人生を楽しめなくなってしまう。

悩むべきときに悩み

悩まなくていいときには悩まない。

悩むことが

ネガティブなものとして

捉えられがちな時代に

上手に悩むこと

きちんと悩むこと

悩むことに時間をかけること

これらは

なかなかパワーがいること

なのかもしれません。

悩みや問題自体を
なくすことではなく
きちんと悩む力を身につける

私はそういう
支援をしているのだな、

なんて思っています。

カミヤカオリ

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