こんにちは、フリーランス英語講師のKです。
突然ですが、英語圏の人名と言えばみなさんはどんな名前を思い浮かべるでしょうか。
男性ならJohn(ジョン)、Michael(マイケル)、
女性ならMary(メアリー)、Emma(エマ)などでしょうか。
特にMaryは、英語を勉強したことがある人なら多分100%くらいの確率で一度は教科書などで目にしたことのある名前だと思います。
Maryは教科書に登場する最も代表的な人名の一つであり、学校の先生たちも、きっと自作の例文などにMaryを頻繁に登場させていることでしょう。
それにより、海外にはMaryという名前の女性がさぞかしたくさんいるのだろうと思っておられる方も少なくないのではないかと思います。
では、実際のところMaryはどのような位置づけの名前なのでしょうか?
アメリカの福祉を支えている[社会保障局]によると、Maryは確かにアメリカではかつては最も多い女性の名前でした。
記録されている限り、Maryは19世紀の後半から何十年にもわたりアメリカ女性の代名詞的名前としてトップに君臨し続けていました。
ところが1920年代頃をピークに減少し始め、戦後ついにトップの座を明け渡してしまいます。
その後も減少の一途を辿り、2016年の記録では、Maryと名付けられた新生児はわずか2000人程度しかおらず、今ではアメリカ人女性の名前ランキング上位100位にも入っていません。
Maryは現代的には極めて少数派であり、今の僕たちの感覚からすれば、おばあちゃん世代の名前、たとえば日本で言う「花子」のような印象を与える名前なのです。
ちなみに、戦後のアメリカの名付けランキングではおよそ10年ごとのスパンで上位は入れ替わりを続けていて、2017年時点での名付けランキングトップ5は男女共に以下の通りとなっています。
男の子
1位 Liam(リーアム)
2位 Noah(ノア)
3位 William(ウィリアム)
4位 James(ジェームス)
5位 Logan(ローガン)
女の子
1位 Emma(エマ)
2位 Olivia(オリビア)
3位 Ava(アバ)
4位 Isabella(イザベラ)
5位 Sophia(ソフィア)
人の名前に流行り廃りがあるのは日本も海外も同じで、いつまでも同じ名前が人気であり続けるわけではありません。
Maryもまた、時代の流れによって過去に置き去りにされているのです。
確かに思い返してみても、アメリカに暮らしていた頃、Maryという名前の女性に出会ったことは一度もありませんでした。
(伝統的な男性名は比較的根強く、「太郎」や「〇介」のような印象を抱えつつも、たとえばWilliamやJamesが3位と4位に、JohnやMichaelもトップ30に入っている点は興味深いです。
これは日本でも女の子の「〇子」が減少する一方、男の子の「〇太郎」や「〇介」は今でも人気であるという様子に近いものがあるように感じます。)
ではこうした事情があるにも関わらず、日本の英語教育現場ではどうしてMaryがいつまでも主演のように登場し続けるのでしょうか?
それは、戦中にランキングトップを走っていたMaryが、戦後アメリカに主導された日本の復興過程の中で英語教育の世界に顔を出し、英語名と言えばMaryだという印象を根付かせ、それが今日に至るまで連綿と続いてきたことによるのだろうと考えられます。
平易なスペルと発音で覚えやすく、また心地の良い音の響きであることも原因しているかもしれません。
いずれにせよ「メアリーおばあちゃん」は今でも日本人に対してアメリカ女性の代表格として君臨し続けているのです。
個人的には、文法が時代に即して変化を続けるように、人名もまたその時代におけるポピュラリティーを鑑みてテキストに登場させた方が、今の英語を学ぶ方々にとっては実際的なのだろうとは思います。
(だから僕は、ここ数年考え直して、自分が教えるときや執筆するときにはあえてMaryを登場させないようにしています。)
中学校の教科書にはEmmaがよく登場しますが、Emmaは2000年以降ランキング3位以内に入り続けているので、その点はとても現実的で良いと思います。
ただ、あまりテキストでは見かけないOliviaやIsabellaも2000年代前半からトップ3に頻繁に顔を出し続けている名前なので、彼女たちももっと登場させてもいいと思います。
英語名もたくさんあります。
いろいろな名前に触れられると楽しいですね。
今日もお読みいただきありがとうございました。
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