勉強するマインドセットを持つ
マインドセットができていないと、本当には勉強なんてしないし、しても身についていかないということを、前回、お話しました。
では、勉強するというマインドセットはどうしたら持つことができるのでしょうか。
今の子ども達は小さい頃から、ものすごく大切に育てられ、学校教育も無理をさせないようにしてきています。
そもそも、ここが問題です。
例えば、学年配当の漢字でなければ教えないのです。
ですから、「意」が該当学年になければ、「意見」を「い見」と書いて、「意」は教えないのです。
これでは意味もわかりません。
子ども達は、少しでも負担なく学べるようにとして、教育を受けてきています。
ところが、子ども達の学ぶ意欲は、ものすごく吸収していこうとするのです。
その子ども達の学ぶ意欲を削ぎ、知的好奇心を失わせるようにすれば、子ども達は学ぼうとはしません。
例えば、百人一首でかるた大会をしようとすると、本気で覚えようとする小学校低学年の子どもなんて、たくさんいるのです。
百人一首はご存知の通り、古文で書かれた和歌ですから、小学校低学年の子どもには、覚えるのは難しいのです。
でも、子ども達は必死に覚えるのです。
それは、かるた取りが面白いこともあります。
「かるた取り」や「坊主めくり」をきっかけに、面白いと思い、和歌や歌人、歴史に興味を持つ子どもがいるのです。
これが、知的好奇心を満足させる一つの方法です。
子どもが興味を持つところから、学ぶ意欲をひき出していかないと、勉強するというマインドセットなんて持つことは難しいのです。
勉強することが嫌だ、と小さい時から思わせてしまっていては、知的好奇心も失い、とても勉強するというマインドセットなんて、持つことはできません
昨日も書かせていただきましたが、難関国立大学に進学した教え子たちの中に、小4までに中学受験大手進学塾などに通ったことがある子どもがいなかったのは、中学受験大手進学塾に小1などから通ってしまえば、いろいろなことに興味を持つことは、どんどんなくなっていきます。
受験勉強のようなものだけが、勉強だと思ってしまいます。
そのうち、気がついたら宿題に追われ、成績も伸びなくなり、何も楽しくなくなり、勉強が嫌いになってしまうことが多々あります。
それでは、勉強するマインドセットをわざわざなくさせているのです。
勉強するマインドセットを持つためには、勉強することが嫌でないことが、大前提として必要です。
もしも、勉強することが嫌で嫌で仕方がない状態になっていれば、マインドセットどころではなく、まず、勉強することが嫌でない状態にしなければ始まりません。
勉強することが嫌ではないという前提で、話を進めます。
今、中学生になっていて、勉強するというマインドセットをもつためにはどうしたらいいか、ということで考えます。
簡単に言えば、勉強したいと思える目標や夢を、まずもつことが必要です。
ただ、そうなると、○○高校合格とか、テストの点数が何点とかということに、すぐになってしまうと思います。
そうなればいいのですが、そんなことをすぐに思えるとは思わないのです。
もっと本人がやりたいと思えることの方が簡単です。
彼女が欲しいとか、ゲームをしたいとか、ユニバに行きたいとかです。
まずは、そんな身近なことでいいので、やりたいことを目標にするのです。
そのために、勉強もやるんだと決めてとりかかるのです。
この時に注意しないといけないことは、85点以上とったら、ゲームを買ってあげる、とかユニバに行ってきてもいいよ、とか、点数を取ることでご褒美をあげる形で、ご家族が約束をしないことです。
やっても構いませんが、達成したら、もう勉強しませんし、達成できず手に入れることができなければ、勉強することが嫌になるだけです。
それでは、先に続かず、なんの意味もなさないのです。
ご褒美方式でうまくいったことはほとんどありませんし、うまくいっても次のテストでは使えないのです。
そんなものでは、勉強なんて続けていけることは、ないとは言いませんが、続けてはいかないのです。
ご家族からご褒美を出すのではなく、頑張った自分を褒めるように持っていってあげることが、一番重要なのです。
ですから、ゲームも日頃から好きなようにさせておく、ユニバに行きたかったら、一定金額の範囲内で、行かせておくことが必要です。
ここで自制できない子どもに、勉強をするようにと言っても、正直、無駄です。
自分でコントロールできないでいるのですから、強制的にやめさせるしかありません。
そうなると、自分で勉強するというマインドセットをもつことはできないのです。
これは、ここまで過ごしてきた過程で、すでに自分をコントロールすることも身に付けることができず、また、ご家族の話も聞かないように、してしまったことが問題です。
それを解決するためには、ご家族は、一緒になって、自分をコントロールすることを身につけさせてあげて欲しいと思います。
それが最優先課題です。
自分でコントロールができるなら、ここで、何のために頑張るのか、なぜ、今、勉強するのか、そのことを一緒になって考えてあげていただきたいのです。
決して、◯◯高校にいけるように、とか、◯◯大学に合格するために、とかではありません。
そんなことには、ほとんどの中学生は、興味も持てないのです。
それよりは、今、勉強することが、どういう意味を持つのかをご家族が一緒になって考えてあげていただくことが必要です。
押し付けない形で、ご家族が中学生の時にはどうだったか、どんなことを考えていたのか、もっとしたかったことは何か、そんなことをお話いただきながら、一緒に考えて欲しいのです。
そうしたら、子ども達が勉強する気になるためには、どうしたらいいのかご家族もよくわかると思います。
大人ができることは、どんなことでも、知りたいことを知ろうとする、わからないことをわかろうとする気持ちを持つように、一緒に考えることだけです。
そして、勉強することで、もっといろんな知識を身に付けることができ、結果として、より自然と勉強する、ということを学んでもらうことです。
さらに言うなら、勉強はすればより勉強ができるようになり、成績も上がることを体験してもらうことで、より勉強に向かっていただけるようにすることです。
・興味を持つことから、知的好奇心をくすぐり満足させる
・勉強を嫌いにしない
・自己コントロールができるようにする
・なぜ勉強をするのかをご家族と一緒に考える
これらをできるようにすると、勉強するというマインドセットも自然と持つようになるのです。
ご家族が一緒に考えていただくことは、塾の授業や宿題で成績をあげる以上に、バツグンの効果があることはあえて申し上げておきたいと思います。
これはやってみていただくとわかります。
これはかなり強烈です。ご家族の絆も強まり、お父様、お母様への尊敬も深まります。
ぜひ、そんな時間を持っていただければと思います。
ただ、間違って欲しくないことは、すべて「好奇心を旺盛にさせる」「自己コントロールできるようにさせる」などと「〇〇させる」のではありません。
子どもが自分でそうなっていく、自然に自分をそうしていく、そうなるように親としてどうしたらいいか考えるのです。
「勉強しなさい」「宿題しなさい」「部屋を片付けなさい」と言うことが、どれほど簡単なことか!
その代わり、子どもは「勉強するマインドセット」などは、当然、持つことなどなく、常に人に言われないとできない、親の望む大学に行けない子どもになっていくのです。