子どもの感情を大事にしてますか?
タイトルを読んで違和感を感じた方がいらっしゃるかもしれません。
違和感を感じてくださっていると、とてもうれしいです。
「子どもの気持ちを大事にしていますか?」と書けば、きっと違和感もなかったと思います。
今、私が申し上げたいことは、「気持ち」よりも重く感じる「感情」のことだからです。
ご家族とケンカをしたわけでもなく、お母様、お父様の問題に対して、子どもがどのような感情を持ち合わせているか、考えたことがありますか?
中学受験を控えているにもかかわらず、お母様とお父様が、家の中でほとんど会話しなければ、それは、子どもにとっては勉強どころではありません。
「だから僕ががんばって合格して、お母さんとお父さんを喜ばせれば、家の中の雰囲気も良くなるはずだ!」と優しい子どもなら考えて、自分の感情を押し殺して無理して頑張ることだってあるかもしれません。
そのくらい、子ども達はご家族のことをよく見ています。
そして、そのことに対して、複雑な感情を持っています。
ところが、ご両親のケンカなど、ご家族の問題が発生して、これまで我慢していた限界を超えると、子どもがこの感情を爆発させることがあります。
子ども本人とご家族のケンカなどではなく、ご家族の問題が発生し、これまでも我慢して、我慢して自分を抑えて過ごしてきた場合、そのことに対して、感情をむき出しにして、ご家族を責め立てることがあるのです。
この時に、お母様、お父様が感情をぶつけられるために、逆ギレしてそのことに対して激しく反発して、言い換えしてケンカになることもあると思います。
そもそも本人にとっては、関係のないことなのにもかかわらず、ご家族は自分達がイライラしているために、言われたことに腹を立ててしまうからです。
これは、子どもがなぜこんな感情をぶつけることになってしまったかも考えない、最悪のパターンです。
お母様、お父様の問題に対して、子どもに感情をぶつけられ、素直に謝罪したり、子どもの気持ちを聞くこともあります。
これが、ましなパターンです。
これは、感情をぶつけた子どもにとっては、まだましだというだけで、とても良いとは言えないのです。
なぜなら、子どもが感情をぶつけなければならない状況を作ってしまっているのですが、心から謝っているのであれば、救われる部分があるからです。
ただ、どちらのパターンでも考えて欲しいことがあります。
それは、子どもは、自分に関係のない、お母様やお父様の問題に対して、感情をぶつけるためには、問題が起こる前から、ずっといろいろなことを思っているはずなのです。
問題に気が付いていて、そのことに対して思いがあるのです。
それが積もり積もって、感情をぶつけてくることになるのです。
ここで終わりではないのです。
一番わかっていただきたい事は、感情をぶつけて終わりではないということなのです。
ご家族に言いたいことを言って、子どもはスッキリしたんだと勘違いして欲しくないのです。
ここからが、子どもにとって地獄なのです。
「こんなに思っているなら、もっと早くに言っておけばよかった」
「自分はご家族に対して、こんな嫌な気持ちをもっていた」
「人に対して、こんな嫌な思いを感情にまかせてぶちまける嫌なやつなんだ」
「こんなに醜い思いを持つものすごく悪い嫌な人間なんだ」
「人を罵れるほど自分はいい人間なわけはないのに、なんて酷いことを言えるのか」
と自分を責めるのです。
もちろん、ご家族に対しての怒りや負の感情がなくなったわけではありませんが、それと同時に、感情をぶつけたときに言った言葉で、実は、自分自身も大きく傷つけていくのです。
これほど、辛いことはありません。
この思いを、どうしてわかってあげないのかと、子どもから相談を受けるたびに、悲しくなるのです。
自分で自分の心を傷つけることを、子どもにさせたくはありません。
これほど悲しいことはありません。
このようなことが増えていくと、いつかは子どもは、自分自身を壊してしまうのです。
子どもが感情を爆発させた後も、子どもが自分自身を傷つけているのだとわかって、子どもの感情をできるだけ大事にしてあげて欲しいと、願わずにはいられません。