独断と偏見による今年のマイベスト展覧会トップテンをまとめてみました。

意外と日本美術が多くなりました。

 

 

【1位】

国立トレチャコフ美術館所蔵品展

ロマンティック・ロシア

会場:BUNKAMURAミュージアム 渋谷
会期:2018/11/23-2019/1/27(開催中)

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/

 

今年一番楽しみにしていました。後日ゆっくり感想を書きたいと思います。

すでに"常連"であるクラムスコイの≪忘れえぬ女(本当は「見知らぬ女」)≫(↓)も来日。

 

 

 

 

 

 

【2位】

会場:Teamlab Borderless(お台場)

会期:-

 

今まで期間限定の展示のみだった「チームラボ」初の常設美術館が、この夏、お台場にオープンしました。

 

最近、シンガポールやオーストラリア、フィンランドなど海外での活動も華々しく、佐賀など地域おこしにも参加している「ウルトラクリエイティブ集団」チームラボ。
数年前に六本木の森美術館で初めて映像作品を見てファンになりました。

 

ビートたけしさん、ローラさんなど、豪華メンバーも出演したCMが大々的に流れて、話題になりましたね。

 

作品名: 呼応するランプの森とスパイラル / Forest and Spiral of Resonating Lamps - One Stroke

ランプシェードには、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)を使用しているそうです。
整理券を事前にもらい、時間になったら並びます。
一番人気のコンテンツでした。

 

 

Wander through the Crystal World
teamLab, 2018, Interactive Installation of Light Sculpture, LED, Endless
 

 

館内にはあえて案内図を設置せず、来館者は薄暗闇を迷いながら散策するしくみ。
鏡とぶつかりそうになったり、浮遊感を感じて酔ったり。
現代っ子には、スマホの二次元の世界だけでなく三次元のアートにふれ、もっと「空間認識力」を鍛えてほしい、という、代表の猪子氏の言葉を実感。

 

新感覚のミュージアムでした。

 

 


【3位】 
SEITEI リターンズ!孤高の神絵師、再降臨‼︎

 会期:2018年9月15日(土)〜9月29日(土)
 会場:加島美術 東京都中央区京橋3−3−2

 

鑑賞メモは こちら

 

昨年の「孤高の神絵師」展に引き続き、渡辺省亭の展覧会が、今年も加島美術さんで開催されました。

去年とは全くだぶらない作品が出展されていて、今年初めての方もリピーターも満足な内容。

日本美術史家の山下先生やアート・テラーとにーさんが登壇されたトークイベントなど、イベントも充実していました。
 


渡辺省亭≪牡丹の図≫明治32年

 

 

【4位】 

木島櫻谷(このしま・おうこく)展

会期:2018.4.14~2018.5.6(日)

会場:泉屋博古館分館(東京・六本木)

https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html

 

鑑賞メモは こちら

 

 

 

写真は内覧会で許可を得て撮影したものです。

 

 

【5位】 

国立ロシア美術館所蔵

夢、希望、愛─アイヴァゾフスキーからレーピンまで

会場:富士美術館(八王子)

会期:2018年10月7日ー12月24日

 

鑑賞メモは こちら

 

2018年10月7日ー12月24日まで .
 


全50点弱のロシア絵画。

アクセスが悪い美術館だけに、あまり話題にはなりませんでしたが、
地味ながらも土の匂いと森の郷愁が色濃く漂う、ロシアらしさの堪能できる展覧会でした。


イリヤ・レーピン≪サトコ≫

 

 

 

 

【6位】 

小原古邨(おはら・こそん)展
花と鳥のエデン

会場:茅ヶ崎市美術館(神奈川)

会期:2018年9月9日(日) 〜 11月4日(日)

http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/2018-0909-1104/

 

開幕当初はがらがらだったようですが、NHKの日曜美術館で特集されたため、会期終了間近は大変な混雑でした。

図録も一時は品切れしていました。

 


作品は全点撮影可能でした。

美術館からの注意書きがいい感じ。

 


1階/展示室1は、春夏の作品、

地下1階/展示室2は、秋冬の作品でした。

 

 


ちなみに、原宿にある太田記念美術館でも来年2月~3月に古邨の展覧会を開催しますが、

公式サイトはこちら

 

この展覧会の巡回展ではなく、まったく別の作品を扱った、独立した展覧会です。

古邨の作品は明治期に輸出用に製作され、大量に海外に流出しました。海外ではずっと人気でしたが、日本では長いこと忘れられていました。

SNSのPinterestでは、ロシアや中国のユーザーがたくさん古邨の作品をアップしていていろんな作品が観られます。(ウイルス感染にはくれぐれもご注意を)

 

 

 

【7位】 

河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵
暁斎・暁翠伝 
─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─

会期:2018年4月1日 (日)~6月24日 (日)

 

鑑賞メモは こちら

 

河鍋暁斎(きょうさい)とその娘・暁翠(きょうすい)、父娘の作品展でした。

暁斎にはおどろおどろしい絵を描くイメージがありましたが、それだけではないことがよくわかりました。

 

 

女性らしい優美さ、柔らかさを持った暁斎の絵も気に入りました。

写真は内覧会で許可を得て撮影したものです。

 

 

【8位】

バレエ 究極の美を求めて
会場:横浜そごう美術館

会期: 〜2018/12/25

 

帝政ロシア時代の伝説のバレリーナ、アンナ・パブロワ様の映像や写真などが見られて満足でした。
 

バレエ史上最も好きなバレリーナなんです。
 


ミハイル・フォーキン振り付けの《瀕死の白鳥 Dying Swan》が特に有名で、ロシアバレエの歴史に深く名を刻みました。

それだけでなく、ヨーロッパ各国やアメリカにもバレエの伝道師として赴き、ロシアバレエの存在感を示しました。
 

 

 

荒くて質の低い白黒動画しか現存していませんが、それでも、圧倒的迫力が伝わってきます。


ロシア革命を機にサンクトペテルブルクを離れ、船旅の時代に世界各国を巡業し、世界を何周もしました。

人の何十倍も濃い人生を生きた女性です。

 

小さい頃は病弱な子だったらしいですが、ドキュメンタリー映画が正しければ、体を丈夫にするために真冬に水浴びをしたりしていたそうです(汗)。

大正時代には来日し、文化人中心に、たいへん話題になりました。

当時は、あまりバレエに興味のなさそうな芥川龍之介まで評論に駆り出されました。

芥川はパブロワを"骨のないかのごとき化け物"と評しましたが、瀕死の白鳥の演目だけは気に入ったそうです。

 

国内バレエ団提供の衣装展示もありました。

 

 

【9位】

世界を変えた書物展
会場:上野の森美術館
会期:2018年9月8日 (土) 〜 9月24日 (月)

http://www.kanazawa-it.ac.jp/shomotu/

 

ここで、アートではありませんが、興味深かった展覧会をご紹介します。

 

金沢工業大学が所蔵する科学技術に関する世界的な初版本コレクションから選りすぐられた約130冊を展示した、活字中毒者にはたまらない企画。

 

人類の知が進歩してきた歴史を目の当たりにして、胸熱でしたね。

 

ガリレイ『世界二大体系についての対話』1632年, 初版 金沢工業大学所蔵

 

 

【10位】

吉村芳生展 超絶技巧を超えて
会場:東京ステーションギャラリー(東京駅丸の内北口直結)
会期:2018年11月23日(金・祝)-2019年1月20日(日)(開催中)

 

2018年最後に鑑賞したのがこの展覧会になりました。

 

SNSで評判が良かったので、仕事帰りに足を運びました。

正直いって全く知らない画家でしたが、期待以上でしたので、10位に。
山口県周防出身のデザイナーで、残念ながら昨年他界されたそうです。

静かで緻密な絵でありながら、エネルギー画面からひしひしとを感じました。

 

鬼気迫るものさえあります。
 

ファイバーカステル色鉛筆120色で描いた大作の花々に圧倒されました。
色鉛筆でこんな作品ができてしまうなんて!

 


《無数の輝く命に捧ぐ》2011-13
まるで藤棚の下にいるかの錯覚におそわれました。


それにしても、ステーションギャラリーさんは、相変わらず、確実に一定の人気が取れそうな展覧会ではなく、尖っていて「攻めてる」展覧会を開催しています!

 

 

【+α】

フェルメール展

会場:上野の森美術館

会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)

 

一番話題になった展覧会ですが、最後に。

へそ曲がりな私は、ブームが過熱しすぎな気がして、ちょっと引いています(苦笑)

勿論フェルメール作品が素晴らしいことは疑いないと思いますが…

 

私はむしろ、2階のガブリエル・メッツー(Metsu, Gabriel)

≪手紙を読む女≫≪手紙を書く男≫が来日してくれたのが嬉しかったり。

ふだんはアイルランド国立美術館に所蔵されている作品です。