ひとの中にはお宝が埋まっている。 


 その人にしかないアイデア、 

その人にしか語れない言葉、 

その人にしか描けない絵、 

その人にしか作れないデザイン、


 人が集まって組織になれば、 

その組織でなければ
できないことがある。 


 それらを「知的財産」と呼ぶ。


 中でも特許権や実用新案権など、 

法律で守られるべき利益として 

規定されるものが
「知的財産権」となる。


 知的財産を知的財産権として 

守られるように手助けを 

してくれるのが、 

「弁理士」という仕事。 


 7月1日は「弁理士」の日、 

知的財産権を考えようと
設定されている。


 弁理士試験の難易度は高く、 

理系最高峰とも言われる。


 国家試験の合格率は10%以下、

 深い専門知識が必要とされ、 

受験者の8割が理系出身者。 


 文系最難関と言われる 

司法試験を突破し、

弁護士資格を
有するものも

弁理士となることが
できるのだが、 

理系の専門知識がないと 

弁理士として活動するのは
難しい。


 知的財産権に関しては

 毎年のように課題が現れ、 

法律の改正も行われている。 


 それらにもついていかなければ
ならない。


 人々の利益に直結するため、

 仕事に求められる内容も高い。


 そんな知的財産権の

わかりやすい
事例として 

挙げられているのが、 

みんな(?)ダイスキ「雪見だいふく」。





 雪見だいふくはロッテの商品だが、 

ロッテはアイスクリーム市場に
おいては、

後発企業。 


 1972年に参入した時は 

雪印、明治、森永の3大メーカーが 

市場を席巻していた。


 その中で生き残っていくためには 

まともにぶつかっても勝ち目はない。 


 常識の枠を超えなければならない。

 出てきた答えは 

「冬に売れるアイスをつくる」
というもの。 


 まず作られたのは 

博多銘菓“鶴乃子“を参考にした 

「マシュマロアイス」で 

マシュマロでアイスをくるんだもの。


 女子高生を中心に評判は
悪くなかった。 

 しかし、もっと幅広い年齢層に 

受け入れられる、 

息の長い商品を作りたい。


 マシュマロを餅に変えたら
どうだろう。


 餅でアイスをくるんだ 

「冬に食べる日本人好みのアイス」を
作ろう。 


 とはいっても、そう簡単には
いかないもの。 


 冷えると硬くなる餅と、 

温めると溶けるアイスの融合は 

どうすればよいのだろう。


 試行錯誤の末、

「求肥(ぎゅうひ)」が
使える、

と答えが出た。


 求肥は餅米に糖分を加えて
作るもので、

配合により硬さを
変えられる。


 皮は求肥。 

製法を開発するために 

大福の製造方法を取り入れ、
応用した。 


 そして、
冬に食べる、

というコンセプトのもと、 

発売開始は北の大地、
北海道から。


 雪景色を見ながら、 

 暖かいこたつに入って 

やわらかなアイスを食べる。


 パッケージも、これまで 

 冷菓には使われることのなかった 

暖色の赤。 





 狙い通り、雪見だいふくは
大ヒット。

 これまでにないアイスの市場を
作り出した。


 雪見だいふくは
マーケティングも、

アイディアも
コンセプトも技術も 

すべて独自のものであり、 

まさに知的財産権のかたまり。 


 雪見だいふく発売後は 

いくつもの模倣商品が
出回ったものの、 

 「被覆冷菓およびその製造法」と
いう

製法特許を取得し、 
競合を許さない。 

 

 この時に、いかに漏れのない 

特許を申請して取得するのかが 

弁理士の腕の見せ所。


 新技術の特許も次々と取り、 

類似商品が出回らないということが

 手堅く穴のない
特許であると明白である。 


 こうして、雪見だいふくの

 知的財産権は守られている。 


 新しい味を次々と出しつつも 

定番のバニラのアイスの味や 

皮の食感など 

アップグレードは欠かせない。 


 しっかりとした特許がなければ 

模倣商品に駆逐されて 

雪見だいふくは存在していくのが

 難しかったかもしれない。 


 アイスを一年中楽しめるものに 

してくれた雪見だいふく、 

 その雪見だいふくが 

雪見だいふくであり続けるために 

特許というものがあり、

 陰に弁理士が存在している。 


 いつでも口に優しい
雪見だいふく、

 今日のおやつはこれにしようか。 


 これからも様々な課題が出てくるで
あろう、

 知的財産権というものを
考えながら。