今日も地下鉄を降りると、 

アパホテルの広告に

 華やかな帽子を被った 

女性の写真が目につきます。 





 「これ何なんだ、って思うよ」

 「なんか、恥ずかしいよね」 


 今更ではありますが、

 お連れの方が
そんな言葉をもらしたら、

 「それを言うってことは、 

この人の戦略に落ちてるってこと、

 ビジネスセンスで負けてるって

 思われちゃうよ〜」と

 伝えてみましょうか。 


 そして、アパホテル社長の

 元谷芙美子さんが、どんな方かを。 


 芙美子さんは、福井県生まれ。

 中学生の時から生徒会で活躍し、

 勉強が大好き。 


県内一の進学校に進みますが、 

高3の時に印刷工場をしていた

 父親が病に倒れ、

 進学を断念して

地元の信用金庫に
就職します。


 そこで、

夫となる元谷外志雄氏と 

出会い、結婚します。 


 元谷氏も中学生で父親を失い、

 進学を諦めて就職、

同時に
慶応大学の通信科に入学しています。


 いずれは自分で会社を興す、

 そのために経営と金融の知識は 

必須だ、と元谷氏は考えていたのです。


 進学を諦めたものの、 

それは人生を諦めたわけじゃない、 

そんな2人が出会ったのです。


 芙美子さんは、生まれた時に
元気がなく、

「明日まで持たない」と
医師に言われ、

 家族は泣く泣く弔う準備をしていたものの、

 その後回復。


 さらに1歳の時に福井を襲った地震で 

自宅は倒壊。 

そこで亡くなったと思われたものの、  倒れてきた仏壇の観音扉の中で 

生き延びていたのです。 


 「記憶にはないけれど、 

ここで一生の厄落としをしたのよ。」

 と、笑います。 


 やがて元谷氏は不動産会社を
創業します。

 信用金庫の知識と人脈を活かし、

 誰でもローンで家が買えるような、
 

 当時としては新しい手法を
おこし、

大成功。 

 会社は順調に成長し、

 ホテル事業にも手を広げます。 


 創業時から夫の右腕として 

活躍していた芙美子さん、 

ホテル部門の社長に抜擢されます。
 


 グループの中で、

 ホテル部門だけが赤字すれすれ。 

彼女は、宣言します。 

 「ホテル業界のジャンヌ・ダルクに
なります!」

会場は静まり返り, 

拍手ひとつなかったそう。


 もちろん、そんなことでめげる 

芙美子さんではありません。 

 「会社は社長で決まる。
私は、営業が大好き。」

その芙美子さんが決めたのは、

 「自分が広告塔になる」でした。 

 正直、若くもなく美しくもない
自分。 

大好きな華やかな帽子を被り、

 アピールします。

 このころ、自らの顔を出す経営者は 

ほとんどいませんでした。




 広告には賛否両論、

 アンチから

クレーム電話が
1日中鳴り響き、 

「公共の福祉に反する」


まで言われました。 


 大成功です。

 広告の目的は、認知を広めること。

 嫌われようが何だろうが、

 相手は確実にアパホテルの名前を 

覚えたのです。 


 批判的な意見を寄せた相手には、

 お礼とともに宿泊券をプレゼント。 

 ここまでして認知を広げたのは、 

「やがてネット予約が主流になる」

との
読みがあったから。


 航空業界を参考に、 

一席を埋めるように一室を埋める。 


 他業種から学べ、

 同業の後塵を拝してたって
遅れていくだけ。


 創業は易く守成は難し。  


七転び八起きなんてとんでもない、

 一度だって転んだら負け。 


 運とは、軍にしんにょう。

 いつだって戦わなくては。 

戦うのは、自分と。

 他人と比べて他人と争っても
仕方ないでしょう。 


 そんなアパホテルにも、 

ピンチが訪れます。 

 2007年に耐震強度問題が勃発。 

京都のアパホテルが耐震強度を 

満たしていないことが発覚したのです。


 偽装とまで言われましたが、 

自分たちは恥ずかしいことは 

何一つしていない。


 銀行からは借入金300億を 

早急に返済するように
迫られます。 


 これから建てる用地を

すべて
売り払い、

借入金を返済します。 


 万事休す。 

しかし、元谷夫妻はそうは 

思っていませんでした。


 資産を売り払い、借入金を返済し、

 残った資金で、建設中のマンションの 

建設費用も返済できたのです。


 マンションは好評で 

多額の資金が手元にやってきます。 


 そこに、リーマン・ショック。 

 これこそ、チャンス。

 暴落した各地の土地を買いまくります。 


 そこから、さらなるアパホテルの 

快進撃が始まります。


 利益だけを考えているわけでは  

ありません。

 東日本大震災では被災者を、 

コロナ禍では率先して患者を
受け入れたのも、

アパホテル。


 現在では世界に781ホテル、 

11万室に迫る規模となっています。 


 日帰りプランも以前から
導入しているため、

 稼働率が100%を超えているところさえ

 あります。 


 戦のあとには、
必ず幸運が待っている。


 夫を尊敬し、息子たちに愛情を注ぎ、

 部下たちも可愛がる。

 自分の実績は部下の手柄にしてしまう。


 行けなかった大学で学びたい、と 

53歳にして法政大学に入学し、 

さらに早稲田大学大学院で学んで 

 博士号も取得しています。 


 大好きな人たちを喜ばせたくて、 

お金を使ってしまうので、 

貯金はなし。 


 90歳までミニスカートはいて、

 帽子被って営業するからね! 


 そのココロは、 

 「高い目標に日付を入れて持つ」 

「すべて自分のことと捉えて 

絶対に人のせいにしない」 

「楽天的に生きる」

こと。 


 人生には挫折も失敗もない。 

それは気のせい、 

苦しいのも辛いのも、全部気のせい!

 自分の器を広げるチャンスよ。


 風があれば、前に進めるの。

 逆風でも吹けばラッキー。 


 難しいことはあっても、

 できないとは思わない。


 大切なのは、単なる知識じゃない。

 独創性や、哲学をもって動けるか。 

洞察力や先見力が大切で、 

それは現場で自分で勝ち取っていくもの。 


 どんな時代でも、

人を癒すのは
人でしかない。


 相手の求めるものを見つめて、

 本当の愛を届けましょう、ね。 


 そんな芙美子さんの笑顔を見ながら、 

アパ社長カレーでも
頂きましょうか。

 彼らのふるさと、

北陸の
金沢カレーをもとにした、 

見てびっくり、

食べて美味しい 

700万食も売れたカレーなんですよ。