佐藤可士和氏はクリエイティブディレクター。



彼の名前は知らなくても
彼の手掛けた作品を
見たことがない、という人は
いないでしょう。

ユニクロにGU、
セブンイレブンにT-point、
楽天に今治タオル、
くら寿司にYANMAR、
国立新美術館に明治学園大学、
日本財団のロゴ。

キリンの極生や
ホンダのステップワゴンに
立ち位置を示して
新たな価値観を確立したのも
この方の手腕。

仕事もプライベートも楽しむ
佐藤可士和氏は、断言します。

「すべては整理から始まる」

忙しくて整理できないのではない。
整理ができていないから
忙しいのだ。

整理とは生活の知恵的な
ものではない。

仕事や人間関係における
本質的な問題解決のためのもの。

クリエイティブディレクターとして
優れた作品を生み続ける彼が
それをできるのは何故か。

「すべての答えは相手の中にある。
相手の思いを整理して
引き出すこと。
客観的な視点を持ち、
一番大切なものに焦点を合わせ、
磨き上げて洗練させること。」

伝えたいことを「整理」する。
思考を整理すると
表現が整理され、これだ、という
揺るぎないものが出来上がる。

整理というのは
価値観をも変える力を持っている。

仕事上の整理のプロセスは

1.状況把握、
現状の情報を得る。

2.視点導入、
問題の本質を突き止める。

3.課題設定、
問題解決のための課題を設定する。

現状をきちんと見つめ、
思考を情報化し
重要事項、問題点を浮かび上がらせる。

自分なりの視点を導入し、
情報の因果関係を明確にし、
問題の本質をつかむ。

問題の本質にはネガティブなものと
誇るべきものが埋もれている場合と
2種類あるので、
見極めが大切。

課題設定されれば
問題の半分は解決したようなもの。

プロセスはこのようなもので、
どうしても個々の事例に
広げるために抽象的な表現に
なってしまう。

具体的な整理術としては、

1.空間の整理術
2.情報の整理術
3.思考の整理術

まずは、
見てわかる物理的な整理。

徹底的に整理をすることで、
仕事上のあらゆるリスク回避に
なる。

なぜなら、把握できないものが
ない状態になるから。

物事をアタマの中だけで
理解するのは難しい。
だから、身体を以て 
状況をクリアしていく。

本当に必要なものを知るためには
捨てなくてはならない。

捨てることは、
不安やとりあえず、との闘いである。

パソコンの中の整理もここに入る。

情報の整理は、その上の段階。
情報の中でプライオリティをつけ、
因果関係を明確にする。

そうすると、
問題の本質はこれなのだ、と
見えてくる。

その本質が見えれば
課題が設定できる。

自分なりの視点とは、
主観的ではなく、むしろ客観的なもの。

思い込みを捨て、
いったん引いてマクロの視点を持つ。

そして、情報を多面的に見つめると
思わぬ発見がある。

思考の情報化はとても難しいもの。

自分自身を知り、
考えを相手にうまく伝えられる人と
いうのは、
思考の整理に長けている。

自分の姿は自分で見ることが
できないように、
自分の思いを知ることは、
至難の業である。

今本当にやりたいことは何か。
人生においていちばん大切なものは何か。

これにすぐ応えられるひとは
少数だろう。

自分の思いを言語化することは
難しい。

なので、まずは他人のいうことを
まとめる作業をしてみよう。

相手のいいたいことを
言語化していく。

相手の伝えたいことが把握でき、
他人事を自分ごととして捉え、
自分との接点を見つける。

これは、無意識の意識化や
仮説を立てることに役立つ。

相手や自分をより明確に
知ることができれば、
他人や自分との
コミュニケーションの
質が上がる。

整理と問題解決は同じベクトルで
つながっている。

手がかりは、必ず対象の中にある。

すべては、整理から始まる。