「ふりかけ」と呼んでいますか?
「のりたま」が「ふりかけ」の
代名詞になっていませんか。




のりたまはあくまで商品名ですからね。

ピアニカは商品名であって
ものの名前は鍵盤ハーモニカだ、
みたいなものでしょうか。

けれど、責めることは
できません。

ふりかけといえば、
黄色と黒のあの粒たちが
浮かんでしまえば、それは
のりたまですから。

のりたまはふりかけ界の
絶対王者なのです。

のりたまを生んだ丸美屋の前身が
創業したのは昭和2年、1927年。
あと3年で100周年を迎えます。

阿部末吉氏と甲斐清一郎氏の
二人で始まりました。

ふりかけの原点である、甲斐氏の
「是はうまい」という商品を、
阿部氏が売るという
絶妙なコンビ。

戦争中は作ることが出来なくなり、
空襲で研究所も焼失、
さらに甲斐氏も亡くなります。

阿部氏は負けず、
敗戦の翌年にビルを建て、
新たに丸美屋を設立。

デパートに出店し、
試食をしてもらって
「是はうまい」は広まっていきます。

そして、1960年、我らが
「のりたま」が登場します。

是はうまい、は白身魚に
昆布やごまを混ぜた醤油味ベースのもの。

そこに良質なタンパク質である、
タマゴの顆粒を混ぜることを
思いついた阿部氏、
試行錯誤を繰り返して
美味しくなじませることに
成功します。

「のりたま」は、
旅館の朝食の定番、
「のりとタマゴ」から
発想を得たもの。

そこからはや60年以上経ち、
時代に合わせて9回も
リニューアルしています。

塩分を減らしたり、
タマゴ風味を微妙に
変えていたり。

そんな丸美屋、とり釜めしの素、
麻婆豆腐の素、など
家庭で手軽に本格的な味を
楽しめるようにしてくれたのも
丸美屋です。

麻婆豆腐、は1970年代当時は
高級中華料理店でしか
食べられないもので、
そもそもそんな料理は
誰も知らない。

それを、丸美屋の社員の人々は
各地の団地に出向いて試食会を開き、
知名度を上げていきます。

日本に麻婆豆腐を根付かせたのは
丸美屋といっても
過言ではないでしょう。

すっかり日本の食卓を
染め上げた丸美屋、
優良企業でもあります。

なんと24期連続で増収を
達成しているのです。

ふりかけの売上は上がり続け、
釜めしの素も堅調、
中華にお茶漬け、
キャラクター付きの製品も
どんどん売れています。


定番の商品は安心で、
みながやはり手に取ってしまうので
しょうか。

もっとも、増収とはいえ
毎年増益ではありません。

定番でありながらも
いつでもみんなが求める味で
あるために、
研究は欠かせない。

美味しく作りつつ、
コストも考えなければ
ならないのです。

のりたまがのりたまで
あり続けるために、
コツコツ努力し続けるのみ、と
語るのは現在の阿部社長。

何はなくとも、
あったかいご飯に
のりたまがあれば、
なんだか幸せ、
身体の中から温まります。

今日ものりたまに、ありがとう。