いよいよ月々の晦日の最後の
大晦日、
一年の最後の日でございます。

年末のことを年の瀬といいますが、
なんで「瀬」なのでしょう。

川の瀬、流れが速い
超えるのが難しい場所を
指します。

つまり、現実生活で
越えるのが大変なのは年末だ、 
だから「年の瀬」ということ。

そんなに年末は大変?
大変なんです。

年末を年の瀬というように
なったのは、江戸初期から。

江戸時代の大晦日は
年間の総決算の日。

当時、買い物はすべてツケ払い。
支払いは半年ごとで、
年末はすべてのツケを精算しなければ
なりません。

もちろん払わなければ
その後店での買い物を
出来なくなるわけですが、
うまいこと大晦日の支払いを
逃げられれば
半年先のお盆まで支払期限が
延びるのです。

落語にはそれを題材とした
ものがいくつもあります。

借金を払ってもらおうと
やってくる店のものから
なんとか逃げようと

病気になったり
厠にこもったり
葬式を出してみたり
包丁片手に騒いでみたり

まあたいへん、たいへん。

「大晦日 箱提灯は 怖くなし」 
なんて川柳も残っていますが、
これはお武家様が持ってる
提灯も怖くないよ、
怖いのは借金取りだからさ、
って意味です。

店側も、売掛金を回収しなければ
なりません。

取り立てる方も取り立てられる方も
必死です。

1日の区切りは日没と考えられていた
時期ですから、
それまでになんとかしなくては!です。  

実際、払ってくれ!
いやいや、無い袖は振れぬみたいな
やりとりがあったのでは
ないでしょうか。

また、人々は歳神様を
お迎えするために、
さらに早く寝ると白髪になると
言われていたために、
その夜は寝ない人も
少なくなかったとか。

門松やしめ縄も歳神様を
お迎えするためのものですね。

そんな恐ろしい江戸の
大晦日の風物詩ですが、

「越後屋」さんがその習慣を
崩していくのです。

越後屋、のちの三越を創業したのは
松阪牛の松阪出身の商人、
三井高利。

呉服屋ですが、
それまではツケ払いが普通、
定価はなく上乗せした
掛け値から、
徐々に交渉して下げていくという
やり方が「定番、常識」でした。

それを定価販売、しかも
その場で現金で支払いをするという
「現金掛け値なし」を
始めて打ち出したのです。

今といっしょでは。

そうです、今と一緒という
大経済革命を起こしたのが
みついさん。

わかりやすい商売で
大人気になりますが、
あちこちから嫌がらせは受けるし
爆破予告は受ける。

(だから越後屋は悪役なんだな)

それでも商売繁盛、
幕府の御用商人になるし、
真似されても
安売りで負けなかったり、
お手頃なものと
高級とわけたり。

従業員も大切にして
福利厚生に力は入れる、
伊勢参りや芝居見物などの
楽しみもあり、
ボーナスもあって待遇もいいので
離職率も低かったのです。

接客マニュアルもあり、
チラシを配ったり。

町が災害に遭うと
一番に駆けつけて助けを出します。

そのように、
これが当然と思っていたものが
改善され、
新しいものに
置き換えられてきたのです。

いまあるもので、
こうあるのが当然、と
思われているものは
何でしょう。

これから、どんなこれが当然、が
壊されていき、
どんな新たな価値観が
現れてくるのでしょう。

新しい年が近づくと
より楽しみになってきます。

今年も1年間お付き合いくださり、
ありがとうございました。
感謝いたします。

諸事情により11月から
やや不定期になってしまいましたが、
今後ともお付き合いのほど 
よろしくお願い致します。

良きお年をお迎え下さいませ〜m(__)m