写真左側、白いものは米粒で
上に乗っているものは、
世界最小の歯車、
重さは100万分の1㌘。



組み合わせると、
きちんとまわる。

小さすぎて現時点では
商品としての使い道はないが、
これだけの技術力を
もっているということ。

このようなものを作ったのは、
愛知県豊橋市にある、
樹研工業という会社。

世界各地へ、
プラスチック小型精密部品を
供給している。

その使い道は、
電子部品、カメラ、
コンピューター、腕時計、
自動車部品と多岐にわたる。

社員数は70人ほどだが、
成形、金型、成形機の
専門家が揃っているため、

ここに相談すれば、
必要な部品が何かわかり、
費用はいくらで
いつできるのか、
即座にわかるため
打ち合わせはスピーディーに済む。

試作から
少量多品種でも
大量生産でも
社内で対応できる。

技術力は間違いないし、
不良品はほぼゼロ。

1度作った部品の資料は
30年に渡って
残してくれているため、
あの時作った部品、も
復活させることが出来る。

熟練の職人にしか作れない、と
されてきた
超精密切削加工も
機械で可能になり、
光学や医療、宇宙分野にも
その領域を広げつつある。

樹研工業は
1965年に現在会長の
松浦元男氏が
家族と仲間3人と始めたもの。

今では世界に11社、14工場を
持っている。

会社は3つに分社化されていて、

極小の精密成形機を製作する会社、
極小の精密成形用金型を
設計製作する会社、
極小の精密成形品を
製造販売する会社である。

これほどの技術力と
高い売上を誇る会社、
さぞかし有名大の院卒生らが
ザクザクいるのだろう…と
思ったら。

「採用は先着順」という
ありえないような基準を
取り入れている。

新卒採用を募集したら、
中卒だろうがフリーターだろうが 
茶髪だろうが刺青があろうが
日本人だろうが外国籍だろうが
若かろうが年寄りだろうが
男だろうが女だろうが、

来た順に面接もなしで、
採用。

大切なのは、
今まで何をやってきたかではなく、
これから一緒に
やっていくことなのだから。

松浦氏は、語る。

「彼らは、
タイミングよく火をつけてやれば、
がむしゃらに勉強するし
働くのです。
彼らがそうしたくなるようにするのが、
会社の、経営者の役割です。」

そして変わっているのは
もうひとつ、

給与は「年齢序列」。

年功、ではなく年齢。
年を重ねるほど収入は増える。

定年もなく、辞め時は
自分で決める。

社内に、社員を管理する規則は
殆どない。

タイムレコーダーもない。

会議のための資料も作らない。

つまらない仕事はできるだけ省いて
次の仕事をしよう。

社員は仕事のことを
考えている、彼らが
出社したとかしないとか、
そんなものは必要ない。

社員が入社すると生命保険に加入させ、
掛け金は会社が負担する。

かつて、ガンになった社員に、
3年半に渡り、
給与も賞与も全額渡した
こともある。

社員を信用し、仕事を任せてくれる、
そんな姿勢がさらに
技術力を高めていく。

今では、社員が世襲化、
自分の子どももこの会社に
入れたいなあ、
そんなケースが
増えているという。

見た目やら学歴やら、
ひとの価値を決めるのは、
そんなことじゃない。

これから何をしたいのか
何が出来るのか。

仕事は楽じゃない、
世界の最先端なんだから、 
しっかり学んでいこう。

一緒に、やろう。