シンデレラ、白雪姫、
眠りの森の美女、
ラプンツェルといえば?

ディズニー!!
・・・いや、アニメ化して
人気者にしてくれたのは
ディズニーですが、

これらの話を
世に広めたのはグリム兄弟、です。

グリム童話の中にあるのは、
上記のプリンセスだけではなく、

オオカミと7匹の子ヤギ、
ブレーメンの音楽隊、
ヘンゼルとグレーテル、
親指小僧、小人の靴屋、
赤ずきん、
長靴をはいた猫、などなど
200を超える物語。

といっても、
グリム兄弟は作家ではありません。

彼らは多くの民話を集めて
まとめた学者です。

シンデレラの原型の
ような物語は、
古代中国や古代エジプトにも
あるとされています。

人類が長い年月をかけて
語り継いできたものは、

地域によって
細部は異なるものの、

人が感じ取り、
次の世代に残していきたい
骨子となるのは、
共通しているもの
なのかもしれません。

グリム兄弟は
江戸時代後期、
ドイツに生まれた
9人兄弟の中の2人です。
(もうひとり手伝った弟もいるので、3人と数える場合も)

父親は法律家で、
それなりに裕福な家庭でしたが、
父が45歳で急死すると、
一家はたちまち困窮します。

2人は伯母の援助を受け、
優秀な成績で
大学に進学しますが、

学費と生活費は
自分たちで工面しなくては
なりませんでした。

兄ヤーコプは、
この大変だった時のことを
「満たされていない状況は、
人を勤勉と仕事へと
駆り立てる」
と記しています。

最初は父のような法律家を
目指していた2人でしたが、

学びを深めるうちに、
ドイツの文学や歴史、
言語についての関心を
深めていくことになります。

このころ、ナポレオン戦争で
国土は蹂躙され、
ドイツは分断されていて、
小国同士のいさかいも絶えない
状態にありました。

2人は言語によって
ドイツという国を守りたいと
考えていたようです。

2人は言い伝えを探し求めて
語り手と出会い、
それを書き留めてまとめ、
内容を補い、
場合によっては
書き換えて出版しました。

2人の著書は、
ドイツの伝承、言語学、古典を
知るものとして
高く評価されました。

版を重ね、翻訳され、
読む年齢層の広まりとともに
適切ではないとして
削られた表現も多く、

現代に伝わるグリム童話集として
誰でもが楽しめる内容と
なっています。

「ほんとうは残酷」といわれているのは、

伝承に従って忠実にまとめた
初版の内容。

子どもも読む童話集としてではなく、
民俗、語学としての
学術書でしたので
真実の言い伝えは
こういうこと、なのですね。

シンデレラでは
姉たちが
靴に足を入れるために
踵や指先を切り落とし

白鳥に失明させられる
(いや、表現はもっと怖いんですけどね)

白雪姫の継母は、
真っ赤に焼けた鉄の靴を
はかされて
死ぬまで踊り続ける、

ラプンツェルは
王子が夜な夜なやってきて…。

最終の7版と初版の内容は
かなり異なるようです。

グリム兄弟は、
グリム童話の変遷において、

文献学者・収集家・
編集者・研究者としての
立場からの
方法論も確立したとされています。

彼らが残してくれた手法によって
消えずに済んだ過去からの贈り物も
多々あるのです。

明日は、グリム童話と混乱しがちな
イソップとアンデルセンについて。