秋が色濃くなり、
コーヒーがより
美味しく感じられる
時季になってまいりました。

コーヒーが
世界に広まるにあたっての
ストーリーをいくつか。

コーヒーの発祥は
エチオピアと言われていますが、
栽培し、世界に広めたのは
アラビア半島の先端にある
イエメン。




「モカ」といえばイエメンです。

現在は各武装勢力の
戦闘地帯となり
凄惨な状況にあります。

かつては、
コーヒーの唯一の
生産地として、
繁栄を誇り、
巨額の利益を得ていました。




コーヒー生産を独占する
ため、
種や苗木の持ち出しは厳禁。

芽を出さないように
豆はすべて焙煎していたという
噂も残っているほどです。

しかし。
17世紀初頭(江戸時代始め)
ババ・ブータンなる
インド人が持ち出しに成功。

一時は南インドが
コーヒー産地となったのですが、
病気で全滅。
そしてインドは紅茶の
産地となっていきます。

その後、東インド会社が
持ち出し、インドネシアで
栽培。

これは上手くいき、
オランダ東インド会社は
莫大な利益を手にする
ことになります。

ある時、アムステルダム市長が
ルイ14世に一本寄贈。
王立植物園で栽培されます。

10年後、フランス領
マルティニーク島に
向かうことになった将校、
ド・クリューが
その苗木を分けてもらい、
出発。

苗木をガラス箱にいれ、
嵐に遭っても
海賊に襲われても
水不足で自分の飲み水が
ほんの少しでも

必死に守り続け、
マルティニーク島に到着。

クリューが持ち込んだ
一本の苗木が
中南米のコーヒーの
もとになります。

クリューが
コーヒーを持ち込んでから
10年。

この頃、ブラジルに隣接する
フランス領ギアナと
スリナムとの間で揉め事が
起き、
ブラジルが調停役に
入ります。

特使として派遣されたのは
フランシスコ・ド・メロ・パリエッタ。

絶世の美男、
超イケメンであったとのこと。

たちまち
植民地のフランス人
上流階級の婦人たちに
熱く囲まれることに
なります。

彼は、言ってみました。

「我が国にはない、コーヒーと
いうものを飲んでみたい」

彼に気に入られたい
奥様方、すぐに用意します。

彼にもたらされた
もうひとつの指令、それは

「ブラジルにコーヒーの
種か苗木を持ち帰ること」

でした。

パリエッタは、総督夫人の
カイエンヌと恋に落ちます。

両国の調停が無事成立し
いよいよパリエッタは
カイエンヌと別れて
帰国することに。

決死の覚悟で彼女に
「コーヒーの種か苗木を
私に下さい」
と打ち明けます。
見つかったら、その場で
殺されます。

コーヒーを求めたことを
カイエンヌの夫に
知れたら、
終わりです。

彼の帰国の日。
カイエンヌは抱えるのも
大変なほどの
大きな花束を
パリエッタに渡し、
彼に囁きます。




「…中のコーヒーを
お持ちになってください。」

これが、ブラジルを
コーヒー王国にすることに
なります。

小麦より、米より、砂糖より
大きく、世界中で
取引され、

水の次に飲まれている
コーヒー。

栄養があるわけではなく
効能も様々に捉えられて
いるコーヒー。

なぜ人間は、この植物に
生命をかけるほど
魅了されているのでしょうか…。