自作のカリグラフィーの作品には、同じ題材を別の表現で書いたものがあります。
鴨長明 『方丈記』。
昨年の一月に開催された日本手芸普及協会主催、カリグラフィー部門の作品展では3作目を出品しました。
冒頭部分の『ゆく河』です。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず・・・
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
消えずといへども、夕べを待つ事なし。
1作目。
最初のフレーズだけを書きました。
2011年 日本ヴォーグ社主宰
「第4回 美しき手書き文字の世界」
於 上野の森美術館ギャラリー
2作目。
冒頭の『序』の全文を書きました。
2012年(株)日本ヴォーグ社主宰
第6回「美しき手書き文字の世界」
於 東京芸術劇場 展示ギャラリー
3作目も『序』の全文を書きました。
いっさいの装飾模様を加えないで、
文字を書くことにだけに専念しました。
ただただ、うたかたの如くにです。
2017年 (公財)日本手芸普及協会主催
カリグラフィー部門作品展
於 銀座アートホール
1作目と3作目には6年の歳月が流れているので
原文に対して自身の心境にも変化があり、作品にも表れています。
そしてこの作品制作は額装も含めて、ものすごく気力と体力を消耗しました。
一年ぶりに作品の画像を見ても、重いため息が出ます
また『ゆく河』を書く気持ちになるのか分かりませんが、
その時のためにも日々精進ですね。
最後までお読くださって、ありがとうございます。