鳩の撃退法 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:タカハタ秀太
キャスト:藤原竜也/土屋太鳳/風間俊介
配給:松竹
公開:2021年8月
時間:119分




今夜紹介するのは『鳩の撃退法』。タイトルからして意味深なミステリー・エンタテインメント作品だ。原作は直木賞作家・佐藤正午が2014年に発表したベストセラー小説。監督はTVを中心にマルチに活躍し,2004年に『ホテル ビーナス』(アスミック・エース)で映画監督デビューしたタカハタ秀太。

かつては直木賞も受賞した天才作家・津田伸一(藤原竜也)は,とあるバーで担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に執筆中の新作を読ませていた。

1年前,閏年2月29日の雪降る夜。今は富山の小さな街で送迎ドライバーとして働く津田は,行きつけのコーヒーショップで偶然,幸地秀吉(風間俊介)と出会い「今度会ったらピーターパンの本を貸そう」と約束をして別れる。しかし,その夜を境に突然,幸地秀吉は愛する家族と共に姿を消してしまう。

それからひと月後,津田の元に3千万円を超える大金が転がり込む。ところが喜びも束の間,思いもよらぬ事実が判明。津田が使った1万円札が偽札だったのだ。偽札の動向には,幸地一家が失踪した事件をはじめ,この街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会のドン・倉田健次郎(豊川悦司)も目を光らせているという。倉田はすでに偽札の行方と共に,津田の行方を捜し始めていた。

神隠しにあったとされる幸地一家,津田の元に舞い込んだ大量の偽札,囲いを出た鳩の行方,津田の命を狙う裏社会のドン,そして多くの人の運命を狂わせた雪の一夜の巡り合わせと,富山の小さな街での出来事を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが,読めば読むほど,どうにも小説の中だけの話とは思えない。過去に津田が起こしたトラブルに巻き込まれたトラウマを抱える鳥飼は,小説が本当にフィクションなのか不安になり,津田の話を頼りに,コーヒーショップ店員・沼本(西野七瀬)の協力も得て自ら検証に乗り出すのだったが…。

クズにして天才作家,そして天性の人たらしという,これまで藤原竜也が演じてきた数多くの役柄の要素を併せ持つ津田伸一というキャラクターの魅力。津田を際立たせる,絶妙に配された共演陣。様々な要素が複雑に絡み合い,何が現実で何がフィクションなのか? あのセリフの意味は? など,見終わった後に刺激される知的好奇心。見る者にどこまでもタイトルの意味を考えさせるよく練られた1本だ。


映画クタ評:★★★★


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