源氏物語/千年の謎 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



監督:鶴橋康夫
キャスト:生田斗真/中谷美紀/窪塚洋介
配給:東宝
公開:2011年12月
時間:136分




新型コロナの影響で収録・放送の遅れている春ドラマを尻目に,順調に放送され,今週で最終回となるNHKドラマ『いいね!光源氏くん』にハマってしまった。突然,現代にタイムスリップしてきた光源氏(千葉雄大)とOL沙織(伊藤沙莉)との,千年の時を超えた“ゆる~く笑えるイケメン居候コメディ”なのだが,キャストと雰囲気がツボった。

そもそも光源氏って,平安時代中期に紫式部の書いた日本最古の恋愛小説『源氏物語』の主人公である架空の人物。そのモデルや成立には諸説あるが,千年を経てもなお多くのファンを持つ,とんでもないキャラとベストセラーだ。

前置きが長くなったが,この『源氏物語』をベースに書かれた高山由紀子の小説『源氏物語/悲しみの皇子』(文庫版では『源氏物語/千年の謎』に改題)の映画化作品を今夜は紹介。『源氏物語』の作者・紫式部と,時の権力者・藤原道長が男女の関係にあったという設定で,平安時代の“式部の物語”と,式部の書いた“光源氏の物語”を同時進行させ交錯させる構成となっている。監督は,後に『後妻業の女』『のみとり侍』を世に出した鶴橋康夫。

絢爛豪華な平安王朝の時代。一条帝(東儀秀樹)の心を娘の彰子(蓮佛美沙子)に向けさせようと企む時の権力者・藤原道長(東山紀之)は,紫式部(中谷美紀)に物語を書くよう命じる。

物語の題名は『源氏物語』。主人公は桐壺帝(榎木孝明)と桐壺更衣(真木よう子)の間に生まれた光源氏(生田斗真)。だが,帝の寵愛を受ける桐壺更衣は,嫉妬心に燃える帝の正妻・弘徽殿女御(室井滋)によって殺害される。成長した光源氏は宮中の女性たちの憧れの的だったが,桐壺に瓜二つの義理の母・藤壺(真木よう子:二役)への狂おしい想いを断ち切ることができずにいた。その苦しさから逃れるため,正妻・葵の上(多部未華子),艶やかな大人の色香を放つ六条御息所(田中麗奈),はかなげでつつましやかな夕顔(芦名星)と,奔放に愛を求めて彷徨うのだった。

『源氏物語』はたちまち一条帝を魅了し,帝と彰子の間に男の子が生まれた。これで道長の栄華は確固たるものとなり,無事役目を終えたはずの式部だったが,なおも『源氏物語』を書き続けていく。そんな式部に,道長の友人で陰陽師の安倍晴明(窪塚洋介)は不穏な気配を感じ始めるのだったが…。

物語の中で,東宮(=皇太子)の妃という立場にありながら,東宮の死後,年下の光源氏への愛にのめり込んでいく六条御息所。現実では,文才を利用されているだけと知りながらも,道長に愛されたいと願う式部。2人の女性の想いが生き霊となって,物語と現実の時空を歪ませていく。

セットや着物の豪華さを見ると,興行的にはモトは取れなかったと思うが,個人的にはかなり好きな1本。愛や嫉妬や憎悪といった“本音に迫る大人の想い”を映す鶴橋監督の力量に敬服する。


映画クタ評:★★★★


右矢印生田斗真作品まとめ

右矢印真木よう子作品まとめ

右矢印田中麗奈作品まとめ

右矢印若葉竜也作品まとめ

右矢印窪塚洋介作品まとめ

右矢印多部未華子作品まとめ

右矢印尾上松也作品まとめ

右矢印榎木孝明作品まとめ

右矢印中谷美紀作品まとめ


カチンコもっとカチンコ
『源氏物語/千年の謎』
▼お友達ブログ▼