人類資金 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:阪本順治
キャスト:佐藤浩市/香取慎吾/森山未來
配給:松竹
公開:2013年10月
時間:140分




都市伝説の1つに数えられる“M資金”。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が占領下の日本で接収した財産などを基に,現在も極秘に運用されていると言われる秘密資金の呼び名だ。実在性は全く無いとされているにもかかわらず,この“M資金”を詐欺で語る手口が存在し,著名な企業や実業家までもが被害に遭い,自殺者まで出してしまったほど。

今夜紹介するのは,そんな“M資金”を題材に,小説と映画の連動企画として製作された『人類資金』。『亡国のイージス』(2005年・松竹)の原作者でもある福井晴敏と阪本順治監督が,再びタッグを組んだエコノミック・サスペンスだ。

1945年,敗戦に不服な反乱兵たちが日本軍の秘密資金を持ち出していた。GHQ特務工作機関“E機関”のハリー遠藤(豊川悦司)らが盗み出した総量600トンにも及ぶ金塊を回収しに来た笹倉雅実大尉(松崎謙二)は,日本が将来,資本という怪物を相手に戦うことになると見据え,この金塊を軍に戻さず海へと沈める。

それから70年が経とうとしていた2014年。亡き父と同じ道を歩む真舟雄一(佐藤浩市)は,そんな“M資金”をエサに架空の融資話で詐欺を繰り返すヤリ手の詐欺師。ある日,石優樹(森山未來)と名乗る男が彼に近づき,“財団”の人間が待っているので同行してほしいと告げる。本庄一義(岸部一徳)とM(香取慎吾)に会った真舟は,そこで驚愕の依頼を持ちかけられる。日米が共同で管理運営する極秘の“財団”によって運用されている“M資金”を盗み出してほしいというのだ。資金の時価総額は10兆円,しかも報酬は50億円。多額の報酬と,長年追い求めてきた“M資金”の秘密を知りたいという思いから,この空前の詐欺計画に乗ることを決意する真舟だったが…。

社会派作品を多く手がけてきた阪本順治監督が,戦後史最大のタブーといわれる“M資金”をテーマに撮った作品で,主演の佐藤浩市をはじめ,香取慎吾,森山未來,観月ありさ,オダギリジョー,仲代達矢,韓国のユ・ジテにアメリカのヴィンセント・ギャロと,豪華実力派キャストが集結。ロシア,タイ,日本,アメリカの4ヶ国で撮影が行われ,中でも,アメリカ映画以外では初となるニューヨークの国連本部での撮影も敢行された超大作。

ただ,おそらく作り手の意識以上に,見る側の現代日本人にとっては“M資金”が都市伝説の引き出しの奥の奥にあった気がするし,興味を惹く説明も少なかったのが,興行的に振るわなかった要因か。個人的には,俳優たちの上手さと,前半・中盤・後半と変化していく3部仕立ての展開が面白いと思うのだが。


映画クタ評:★★★★


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