奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:大根仁
キャスト:妻夫木聡/水原希子/新井浩文
配給:東宝
公開:2017年9月
時間:100分




奥田民生になりたい訳ではないが,“男を狂わせるガール”にはめちゃくちゃ弱い自信がある。いや,男性側の自信とかお構いなしに“すべて狂わせる”のだから,もう抗いようはないだろう。実際に,恋する度に狂わせられている自覚があるし,“恋患い”が止まらなくなる。

さて,今夜紹介するのは,渋谷直角の同名マンガ『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』を,『モテキ』(2011年・東宝)『バクマン。』『SCOOP!』の大根仁監督が,主演に妻夫木聡と水原希子を迎えて映画化したラブコメディ。物語のモチーフとなる奥田民生の楽曲が全編にわたり使用されるのも魅力で,『息子』『愛のために』『674』『ハネムーン』『海へと』『近未来』『スカイウォーカー』『ギブミークッキー』『チューイチューイトレイン』『花になる』『マシマロ』『The STANDARD』『御免ライダー』『月を超えろ』『CUSTOM』という“シブ選”の全15曲が次々と響く。

奥田民生を崇拝し,彼のような“力まないカッコいい大人”を目指す33歳の雑誌編集者コーロキ(妻夫木聡)。おしゃれライフスタイル雑誌『マレ』の編集部に異動となり,慣れない高度な会話に悪戦苦闘していた彼は,仕事で出会ったファッションプレスの美女・天海あかり(水原希子)に一目惚れ。

しかし,その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった。あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ,嫌われないようにデートにも必死になるが常に空回り。あかりの自由奔放な言動と行動に振り回され,コーロキはいつしか身も心もズタボロになっていくのだったが…。

この手の役を演じさせたらハマる妻夫木聡は言うまでもないが,水原希子の“狂わせガール”っぽさがとにかく良い。天真爛漫でカラリとしたセクシーさ,男の数を自慢するでも,寂しさを埋める訳でもなく,チラリと健気さを見せながら,呼吸するように男たちを夢中にさせてしまう。それはもう,“無邪気”を通り越して“空虚さ”さえ漂わせるほどだ。両面に“悪女”と“聖母”の描かれたコインを,テーブルの上で回転させているような目まぐるしさと魅力。不思議な“恐怖感”さえ抱かせながら,終盤の“破壊力”へと導かれるのだからたまらない。

共演は,松尾スズキ,安藤サクラ,リリー・フランキー,天海祐希 など。


映画クタ評:★★★★


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