僕だけがいない街 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



監督:平川雄一朗
キャスト:藤原竜也/有村架純/石田ゆり子
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2016年3月
時間:120分




15歳で故・蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』主役オーディションのグランプリを獲得してデビューした藤原竜也も,いつの間にか34歳,1児の父。秘蔵っ子として彼を育てた蜷川氏が「集中力があって,真面目で努力家。ストイックで,役の事しか考えられない」と評していた根っからの役者。とてつもない存在感があるのに,ちゃんと画面に馴染んで観客をリアリティーで包みながら,役柄の心情を伝染させてゆく。設定が突飛でも,観客をストーリーに夢中にさせるパワーは,そんな彼の魅力あってこそだと再確認させられた作品を今夜は紹介したいと思う。

原作は全国3000店の書店員が選ぶ昨年の「コレ読んで漫画RANKING」で1位に輝いた三部けいの大ヒット・コミックス。「またマンガの実写化!?」「またタイムリープもの!?」とため息を吐く人もいるかもしれないが,まぁいいから,騙されたと思ってこの1本見てみて♪ とお薦めしたいミステリー・サスペンス。

ピザ屋でアルバイトする売れない漫画家の藤沼悟(藤原竜也)。彼は、事件や事故に遭遇すると,その原因が発生する直前の数分前に時間が巻き戻る不思議な能力を持っていた。しかし“リバイバル”と自ら呼ぶその現象はいつ起こるかも分からず,彼にとっては迷惑な能力でしかなかった。2006年のある日,リバイバルによって大事故を防いだものの自分が大怪我を負った悟は,同僚の愛梨(有村架純)や上京してきた母・佐知子(石田ゆり子)の看病で回復していく。他人と距離を置いて生きてきた悟だったが,思いがけず縮まっていく愛梨との距離。

そんな中,悟が再びリバイバルに遭遇した時,一緒にいた母・佐知子が何かに気づく。そしてその後,佐知子は何者かに殺害されてしまう。するとまたしてもリバイバルが起こるが,悟の意識は18年前の1988年,まだ小学生だった悟自身の頭の中に飛んでしまう。それは,同級生の雛月加代(鈴木梨央)が被害者となった連続誘拐殺人事件の起こる直前だった。全ての鍵はこの事件にあると確信し,雛月を守ってみせると決意する悟だったが…。

全8巻の原作を2時間の尺で収めた割には,原作を知らなくても充分に楽しめるし,原作と異なる終盤も味わい深い。藤原竜也はもちろん,有村架純も頑張ってるし,脇を固める石田ゆり子,杉本哲太,高橋努の自然でミステリアスな演技はさすがと思わせる。残念なのは及川光博で,大事な役どころだけにミスキャスト感が否めない。演技云々を語るつもりはないが,ずっと悪役臭を漂わせちゃってるし,後ろ姿や声だけで「ミッチー」って判る存在感がストーリーのドキドキを停滞させる…ので,お薦めで面白いけど★は4つ。


映画クタ評:★★★★


右矢印藤原竜也作品まとめ