牡蠣～mineral～

玄界より運ばれし海乳を燒く

屈託なき笑顏に見惚れてゐる

初冬の午後を忘れさす醉ひに

頭を擡げさうな惡戲なる欲念

悟られぬやうに姿勢を變へる

軍手とナイフで格鬪する君と

過ごす時が無窮の價値を成す

限界より紡がれし季節を想ふ

所以なき不安は溶解してゐる

甘美の記憶を忘れえぬ温みに

奧を求めさうな名殘ある欲念

疑はれぬやうに言葉を盡くす

指先のリズムで法悦する君と

重なる時が即今を爾今に映す