① 外国人たる自然人に権利能力を認めねばならないとの同じ必要に基づいて、①外国および外国の行政区画、②外国会社、③外国の非営利法人で法律または条約によって特に認許されたものに限ってわが国では、私法上での権利能力を認めています。認許された外国法人は、日本に成立する同種の法人と同一の権利能力を有するが、外国人が共有し得ない権利、および法律や条約で特別に制限された権利は、これを許容し得ません。

 

② 認許されない外国法人は我が国法上、法人とは言えませんから、その代表者または代理人の行為は個人の行為として取り扱う他はありません。もっとも、我が国において、法人と類似の組織を有すれば、権利能力なき社団としての地位は認められます。

 

③ 外国法人が、日本に事務所を設けて活動する場合には、我が国の取引界とかなり密接な関係が生ずることが予想されるので、民法は次のような登記義務を規定して、その組織内容を公示することにしました。

 

④ すなわち、日本に事務所を設けた場合には、第三者の利益の保護のため、民法第37条1項所定の登記をしなければなりません。事務所移転の場合も同様です。登記をしない外国法人には、代表者に50万円以下の過料の罰則適用があります。また、外国法人がはじめて事務所を設けた場合に、その登記をするまで、第三者は法人の成立を否認することができます。