法人は、性質による制限があります。

したがって、法人は精神的苦痛の損害賠償、いわゆる慰謝料請求権の如き権利も共有できないとされています。

 

なお、昭37年の民法の一部改正で、相続人がないときは、被相続人の特別縁故者に相続財産を分与し得る規定を設けました。

この縁故者に養護老人ホームのような法人が含まれることを注意しなければなりません。

 

法人の権利能力は、法によって付与されたものですから、その権利能力の範囲も法令の制限に服します。

 

しかし、一般的に法令の規定で権利能力を制限したものはなく、たとえば、法人は、他の一般法人の役員(理事・監事)や評議員になることもできないという規定や、法人は株式会社の取締役や監査役になることができないという規定のように、個別的制限が存するだけです。

 

法人は、一定の目的のために組織され活動するものですから、その権利能力の範囲もその目的によって制限されます。

法人は、その目的の範囲外の権利能力を共有できないわけです。たとえば、育英事業を目的とする財団法人は営利事業を営むための営業権を持つことはできません。

 

判例は、営利法人に関しては、定款の目的自体に包含されない行為であっても、目的遂行に必要な行為は、法人の「目的の範囲」に属するものと解しています。