民法第27条

1.前二条の規定により、家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。

2.不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。

3.前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。

 

家庭裁判所から選任されると、その管理人は、不在者の財産の上に法定の管理権をもつが、不在者との関係においては、法定の委任関係が成立します。

 

したがって、一方において、管理人の権限については、委任の規定(民法644.646.647.650条)が、準用されます。が、他方において、管理人は、家庭裁判所の監督に服するわけで、この監督の必要上、管理人の職務を規定したのが、本条です。

 

財産管理は、数年にわたって行われるのが通常ですから、その間、財産が毀損・消費されては、なりません。そこで、管理状況がはっきりわかるように、その前提として、管理人に財産目録作成義務を課したのです。

 

財産目録作成義務のほか、家庭裁判所は、管理人に、不在者の財産状況を報告させたり、管理計算を命じたりすることができます。

 

管理人は、不在者の財産を、現状のまま維持するために置かれたものであるから、原則として保存行為のみに、その権限を限るべきです。民法は、保存に必要な処分について、家庭裁判所の積極的で広範な介入を、認めています。