acoustic univers2023.3.1@harajuku RUIDO
弾き語りのツーマンライブに行ってきました。
田澤孝介 / 森 翼(MIMIZUQ)
田澤くんの弾き語りの共演を見るのは
2022年夏のスリーマン以来。
DaizyStripperのボーカルの夕霧さんと
彩冷えるのボーカルの向田葵さんという
生粋のバンドマンのお二人で、
同胞と言える方々だった。
バンドが大好きでライブが大好きで
それ一筋で生きてきたような。
そんな背景が見えて、
その日見たスリーマンでは
根底にバンドサウンドが
息づいているのを感じていた。
そこいくと
今回のお相手の森翼くんは
シンガーソングライター像が強い。
アンプラグドに強そう。
音楽以外にも精力的に活動されていて、
ソフトな中に野心家な印象。
この日は、海外(タイ)での活動を
目前に控えての共演だった。
弾き語りとは、
一人で歌唱とその伴奏を担う楽器の演奏を
同時に行うこと。
開演を待つ間、
どちらが先攻なのかを想像していた。
初めに二人がステージに登場した。
「みんな寒くない?」
と室温を気にしてくれる田澤くん。
やさしいな。
「ちょうどいい」に多数の拍手が起きて
安心されたようだった。
わたしは寒かったので
静かに固まっていた。
外で待機している時から、
上着をロッカーもしくはクロークに
預けるように何度も
アナウンスがあった。
ソールドアウトの一歩手前。
だけど整理番号が遅いのに
早々には脱げなくて、
結局そのまま入場した。
田澤くんは、
森くんとは面識はあったけど
話す機会はなかったそう。
共通の知人は多いし、
イベントで一緒になったことも
あったけど、
「人見知りなんで、楽屋で人との関わりを
最小限にしてきた」と言って、
SNSを通じてご本人から直接
オファーをいただいた経緯を説明される。
そして
『天下一武道会』※に出場する気分だと
今日の意気込みを語った。
リハを見てビビったと。
「これからどのように戦うか考えている」
と。
※天下一武道会
鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』および
それを原作とする
アニメに登場する架空の格闘大会。
作中では著名な3つの武道大会の中でも、
特にハイレベルな大会として描かれている。
終演時間が気になる19時開演。
対バンだと転換で
ドラムセットの組み換えなどをして
20分かかるけど、
今日は大丈夫。
どちらもアコギ1本だから
最後にセッションをやると言って
袖に消える田澤くん。
先攻は森くんから。
そんな気がしてた。
森くんは、金髪のボブカット。
切り揃えられた前髪に、
太めの釣り眉が印象的だった。
早速チューニングに手間取る。
チューナーがうまく反応しないよう。
「自分に甘いことがばれてしまう」
焦っていると、
ステージ袖から物音がした。
田澤くんが自分のチューナーを
サイドテーブルに置いて
無言で去っていった。
やさしい・・・。
声を聴いた第一印象は、
知久寿焼さん(ex.たま、パスカルズ)が
近いだろうか。
個性的な声。
口腔内の広げ方や気道内圧や
鼻腔の振動などを想像した。
時に舌足らずとも聴こえる発音で
歌ったりもする。
シルキーボイスと表現される。
「僕はストリート出身なんです」と
自身を紹介した。
だからかやっぱりわかってる、
弾き語りの王道。
ミュートやブラッシングや
ゴーストノートやらを多用しリズミカル。
フロアからは早々に手拍子が出て、
リズムに乗って揺れていた。
そして弾き語り特有の
畳み掛ける語りかけをしてきた。
扇動性と躍動感。
そんな時でもアコギは離れず
体に沿っていて、
アコギが体の一部になってる人だなぁ
と思った。
ギターソロがないからか
1曲1曲がとても短く感じる。
お母さんを思って作った曲
『マザー』が、
2022年5月初旬の1週間、
全国のファミリーマート店内で
流された時のお話が印象深い。
「僕、片親なんですよ。
お母さんとねえちゃんと3人」
そう言って素性を教えてくれる。
家出した時の話も興味深かった。
「お母さんは、いつも僕とねえちゃんが
『あぁおなか一杯、ごちそうさまでした』
って言うのを見届けてから
食事を食べ始める。
子供の頃はその意味が分からなくて、
お母さんは食べるのが遅いんやなとしか
思ってなかった」って。
食卓にはいつも天かすがあって、
そのことを人に話すと反応はいろいろだけど
自分は誇りに思っていることなども。
『マザー』の全国展開を喜んだお母さんが、
地元のファミマで
息子の曲が流れる店内の様子を
撮ってくれた。
でもスマホの機能では、音楽までは拾えない。
ただお菓子売り場をうろうろしてるだけの
お母さんの動画になってて、
それをかわいいなって思いながら見てたと
にこにこして話してくれた。
『ティンガー・リンガー・ブー』では
フロアにコーラスを求めた。
声出し解禁なんだ?
声を返すまで止めない姿勢が迫力だった。
『My way』もやったかな。
あと『針と糸』。
MCの流れから行くと
『つながる合言葉』もしたのかな?
「小さな声、
微力でもちゃんと届くんだよ」
と力強く訴えていた。
だから僕の音楽をいいと思ったら、
SNSで拡散してという主張。
そういう姿勢にも
シンガーソングライター像が
色濃く現れているように感じた。
路上で見知らぬ人の足を止めるのに
かっこつけてる場合じゃない。
とにかく覚えてもらうこと、
興味を持ってもらうこと。
そのためならどんな勇気も持てる、
そんな強さがあった。
かと思えば、下手最前のお客さんに
「後ろの人にだけ聴こえる声で
言ってください」
と伝言ゲームを始めたり。
そのメッセージが最後にスタッフに届く。
「ビールください」だった
その後ステージに届けられた
小瓶に入った飲み物を飲んでいた。
最後の曲は
爆弾を投下して行ったと思った。
『君の拍手、僕の明日。』だった。
この曲は初見の田澤くんファンの心も
鷲掴みにしただろう。
周囲からすすり泣きが聞こえる。
この曲だけ長く感じた。
この人、女心を理解してるんだ?
わたしも思わず左目頭から一筋の涙。
それから二番に入ると、
主人公が全く別の人に変わっていた。
あれ?お母さんはどうなった??となった。
ちゃんと式は挙げたの???
細かいことが気になる性分
ようやく転換、20時前。
田澤くん登場、
白い舞台幕の向こうにいる。
物音を立てているのに雑談を続ける観客に
聞こえるように言う、
「おるからな」。
その声で存在に気付き、静まるフロア。
しかし舞台幕が上がらない。
「上がらんな…」
つぶやくように言い、いちいち笑わせる。
緊張してるのか、
時間が押してるのか。
歌い始めは、強敵を前に
いつものペースが出せてないのかなと思った。
一昨日のワンマンとは勝手が違っていたけれど、
最後には巻き込んでいた。
『夜に願えば』で始まる。
それがテンポがとてもゆっくりで
雄大だった。
でもなんだか力が入っていそうだと思った。
体よりも思考に。
自分の番になって数曲歌ったあとも、
「なんで俺が後なん」とまだ思っていると話す。
オープニングで二人で話してた時、
この場を天下一武道会に例えた。
「なんでそんなこと言ったんやろう」
と楽屋で考えていて、
「やっぱり強敵を前にするとワクワクする」
確信してそう言った。
『カナリア』のアプローチは、
森くんのファンには
新鮮に映ったのではないかと思う。
弾き語ることを意図して
生まれた曲ではない上に激情。
『生きてこそ』からは、
本来の自分を取り戻したように感じた。
田澤くんだけが発せられる
メッセージがある。
『蒲公英~風に舞え~』では
MCでもオーディエンスの心を掴んていた。
歌もよかった。
蒲公英を見て
【運命】について考えたエピソードは
至るところでしている。
「田澤くんも撮っておいでよ。
押しただけで撮れるから」
カメラマンの方に
そう声をかけてもらい借りた一眼レフ。
写真には正直興味がなくて
話を聞いていただけだったけど、
外に出て改めて見てみると
不思議と目に入るもの一つ一つが
アートに見えたと。
「立派な蒲公英があったんですよ」
両手で包むようにしてそれを表現する。
そこには蒲公英があるのだろう、
風に舞える形態だとしたら綿毛の。
だけどそれだけで笑いが起こる不思議
つい突っ込む田澤くん。
「何がおかしいんですか?
今の笑うところじゃないですよ?
……顔??」
「片親? うちも。兄弟は?」
楽屋でMCを聞いていたようで、
今度は田澤くんから質問返し。
田澤くんも母子家庭で育った人。
「ねえちゃん」
「ねーやんか、俺妹」
「あー、女に挟まれて」と、
思い当たるところも共通しているようで
仲良く苦笑している。
セッション曲は最高だった。
最後の最後に呼び方を変えた。
「タカ君!」
「・・・何て呼んだらいい?」
「翼!」
そんなやり取りがあった。
それだけで一気に距離が近づく。
みんな田澤くんと親しくなりたいんだな、
と思った。
森 翼mori tsubasa/MIMIZUQ@mori_tsubasa田澤さん、否、孝くんの歌声が耳から離れない。2人で歌うと想定して、新しい曲を作ってみたい。次回はそんな曲があってもいいよね。
2023年03月02日 03:12
田澤孝介@takayuki_tazawa翼くんマジで凄かった。 歌、ギター、空間支配力、表現全てが圧倒的でした。 そうかこれが弾き語りか。 学びと刺激だらけの至高の時間でした。 楽しすぎたので第2回。 6月1日(木)原宿RUIDO決定! 詳細後日発表! ⏬中央… https://t.co/EK0FPix5mn
2023年03月01日 23:25
田澤孝介@takayuki_tazawa本日のセッション曲 「君はパイロット/森翼」 https://t.co/hX7PS7nIgk
2023年03月01日 23:54
森くんはまっすぐで自由な人で、
見ていて気持ちよかった。
田澤くんはまたひとつ
経験値を上げたんだね。
セッション曲には
深い感銘を受けました。
素晴らしい時間を
ありがとうございました。