令和5年NHK新人落語大賞 | 桂慶治朗のブログ

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上方の落語家、桂慶治朗のブログです。色々更新しております。落語会のご案内やそのとき思ったことなど諸々も。
よろしければ、お付き合いください。


昨日11/11(土)に開催されました、

令和5年度『NHK新人落語大賞』におきまして、

私、桂慶治朗、

ありがたいことに、

大賞を受賞することができました。



応援してくださった皆様

支えてくださった皆様

育ててくださった皆様


本当にありがとうございます。 

感激で胸がいっぱいです。


そして、受賞できたからこそ、、

色々お話し致しますと、


私としましては、

まずこれはもう奇跡(みたいなもの)だなぁと。



実は、決勝行きが決まってからは、自分の中であまり順調な準備期間ではありませんでした。


・お稽古を詰めてる内に、やってることの何が面白いのかわからなくなる

・しまいには普段自分がどんな感じで落語をしていたかわからなくなる

・自分がなぜ決勝に選ばれたのか本気で疑問に感じる

・セット背景の関係で、予定していたとっておきの衣装が着られなくなって、へこむ

・胃腸炎にかかって二日間絶食

・今年数ヶ月悩まされていた気管支炎、プチ再発で、声が枯れる

・他の大事な仕事のため、他のネタのお稽古に時間がとられる

・えげつないくらい難しい仕事(現場)で、過去イチと言っていいくらいの静けさを味わう


と、改めて箇条書きにしてみると、

まぁ大事な時期に良くはないけど、

人生を左右するほどのことでもないじゃない、、


と思えるんですけど、

そのときは

「あ〜もう嫌だ、いっそ、

明日起きたら一ヶ月くらいたってて、心配なこと全部終わってたらいいのになぁ」


と、毎日思ってました。


でまぁそこに加えて

今月末の定例会も大事やなぁと思ってましたので、

NHKあとにその準備に支障が出ないよう、


・今回は決勝に出られただけでラッキー

・本当の勝負は再来年だ(来年の東京開催は最初から諦め)

・獲れずに終わったあとに、会の準備をしてるイメージをしっかり作っておこう


と、思うように心がけてました。


でも、


各所から

「期待してるよ!」「頑張ってね!」「楽しみにしてる!」

という、普段あんまりもらうことのない応援をいただきますと、


「あぁ〜それでもやっぱりとれたらなぁ」

という思いもありました。


で、本番一週間前に、妻に言いました。


「もうなんか、奇跡とか起きひんかな?」


そこまで来たときにはもう半分ヤケクソで、

少し笑えるようになってました。


で、


本番3日前、


さすがにもうしっかりお稽古して、

せめて制限時間だけは絶対に守れるようにしておかないと、、


と思い、お稽古していましたら、、、、


「あれ?これ、めちゃくちゃ面白くない??」


自分の気持ちの急激な変化にもっと笑えました。


そして二日前、前日、とお稽古を重ねていきましたら、


「ん?あらこれ、、いけるんじゃない??」


そしたらなんと、2才の息子が寝言で


「ん、、おとうさん、ゆうしょう、、」

(二日前くらいから仕込んではいました)


さらに迎えた当日の朝には、

勝尾寺のだるまの置物とだるまの鈴(飽きてしまって普段は興味を示さない)を持って練り歩いていました。


会場到着、

一緒になった出演者の皆さん、

三実くん以外は初対面。

吉緑兄さん、

昇羊さん、

いち花さん、

みんなめちゃくちゃええ人らで、

楽屋の雰囲気も和やか。

UNOやっててもおかしくない。




くじ引きで出番順は4番目。

おそらく一番いい出番順でした。


そして、あれよあれよで本番、、


結果、、、


というカタチになりました。


ということで、


「奇跡とか起きひんかな?」

 →起きました


本当になんだか夢のようですけど、とにかく、

終了後、各所からお祝いのメッセージをいただき、たくさんの方が自分のことのように喜んでくださいました。それが本当に嬉しかったです。



恩返しは高座の上から。


この世界で“売れる”というのは

とても憧れることです。

色んな人にもきっと喜んでいただけると思います。


しかし、

あくまでも私が目指すのは

“ええ落語”です。


もちろんそのために“売れる”というのは

できる限り備えておいた方がいい要素であると思います。


ただ、そこに意識が行きすぎて、

本来の目的を見失うようなことが

ないようにしなければとも。


これを機に、色々やっていきます。
全く意味がなかったり、逆効果だったり、
当たったり、何がどうなるかはわかりませんが、

“ええ落語”を追求し、更新し続ける。
これはブレずにやっていきたいと思います。

困ったときは、、、、

また奇跡を祈ります。

改めて、
本当に皆様ありがとうございます。
これからもどうぞ、よろしくお願い致します。

そして長文にお付き合いいただき、
ありがとうございました。

慶治朗