昭和の時代の治療における考え方と令和における治療の考え方はずいぶん変化してきたと思います。

昭和の学生時代に大学で習ったのは

「一口腔単位の治療」

という考え方です。

患者さんの口腔内全体の問題を細かく検査して全体を治療するという方法です。

 

今考えるといろいろと良い点、足りない点があると思います

良い点としては

①悪いところを全部治すので、管理がしっかり出来れば長期的に良い経過が期待できる。

②きちんと治療出来て、メンテナンスもきちんとできれば5年10年とどこも悪くならずに快適に過ごすことができる

 

足りない点としては

①すべての術者が10年後20年後の状態がどうなるかわかっって治療しているわけではないという点

②処置する場所が多くなるので術者の力量によっては結果に大きな差が生まれる場合がある

③きちっと治療出来てどこも痛くなく快適に食事が出来ることで、メンテナンスしなくなる。その事によって10年後20年後にひどい状態なる人もいる

 

令和の時代になってその考え方には変化が出てきました

簡単に言うと

「価値観による治療」

という考え方です

簡単な例で言うと

 

酷い虫歯で歯が割れて治療するならな抜くしかない状態の歯ですが痛みは無く命に係わる状態ではない場合

抜くか抜かないかはその患者さんの考えで決めることになります

もちろん抜かないことでのデメリットも多く有ります

例えば口臭や炎症のもとになる事もあります

 

それでも抜歯する患者さん、抜歯しないで放置する患者さん、いろいろです。

 

昭和であれば「この歯は抜かないとダメです」という治療でした。

令和では

「自己決定権」

がより重視されてきています

 

完全にどちらが良いのかは結論は出ていないので、ケースバイケースでの対応になります。

 

 

 

奥歯のちょっとした違和感で来院された患者さん

まだ年齢は10代後半でお母さんと一緒に来院されました

 

レントゲン上では大きな問題は今は無いのでこの先の見通しと、今のうちに抜いたほうがメリットが大きい事、このままにしておくと将来手前の7番を巻き込んで悪くなる可能性の説明をさせていただきました。

 

 

 

メリットとしては

まだ根尖が完成していないので比較的抜きやすい事。

将来的に下顎管と言う太い神経を抱え込むリスクを排除できる事。

もし将来抜歯時にその神経を傷つけるとしびれや麻痺が残る可能性がある事。

抜歯後に7番の後ろに歯周ポケットが残る事を防げる事。

 

デメリットとしては

外科的な抜歯になるので術後の痛みが多少ある事。

 

抜かなければどうなる可能性があるか。

過去の症例のレントゲンをもとにご説明させていただきました。

20代後半の患者さんです

今まで痛みが無かったので親知らずはそのままになっていました

 

この場合手前の7番に痛みが出て、7番はかなり悪い状況になってしまっています。

親知らずの抜歯も歯根が下顎管に近接しているのでリスクを伴います。

抜歯したとしても7番の後ろがには深いポケットが残りそうです。

 

 

 

 

症状が無ければ抜歯はしないという選択をする患者さんの方が多いかもしれませんが、たまたまお母さんが親知らずの抜歯でひどく苦労した体験があって早めに抜く決断をされました。

 

3年前から使って頂いているコンフォート義歯の定期健診の患者さんです。

相変わらず何でも痛くなく食べられているそうです。

下の義歯のクッションのぼ部分も綺麗に使って頂いています。

 

 
 
かみ合わせの落ち着きで大事なことは上の写真の様に下の義歯を手に持った状態で上の義歯をその上に乗せて少し揺らしても落ちないと言うことです。
安定したかみ合わせが得られています