今日は忙しさの合間にホッと息をつきながら、松たか子さんと黒木華さん、倍賞千恵子さんが主演の山田洋次監督作品「小さいおうち」を見ました。

昭和の時代を生きたお婆さん(賠償千恵子さん)が、生きた証に回想録を書いていて、自分が女中として奉公していた赤い屋根の小さいおうちに住んでいた家族…特に奥様(松たか子さん)の道ならぬ恋を、戦争に引き裂かれ、翻弄される人々の思いと重ねて、せつなく、哀しく思い出し綴っていきます。

昔の日本のゆったりとした時間の流れ、趣のある庭付きの家、着物がよく似合う美しい日本美人…と、私は懐かしくもあり、引き込まれていきました。

立場が違うばかりに、惹かれあっても引き裂かれる恋は、どんな答えが正しいかは誰にもわかりません。
本人達がどう抗っても、なし得ない不条理な恋…
昔の日本では、密通罪に問われる結末になる話です。

お婆さんが、
「私は長く生きすぎた…」
と泣くシーンが胸に刺さりました。
彼女は結局、独身のままの人生でした。
赤い屋根の小さいおうちは、戦争で焼けて形も無くなったけれど、お婆さんの心は、生涯そこに生き続けたのです。
奥様の報われない思いを、そっと胸の奥にしまったまま…

じんわりと感動が残り、目頭が熱くなりました。
やはり情緒豊かな日本を感じる作品は、日常を離れたやすらぎを感じられます。