口に出すものではないかもしれませんが、私は“ものつくり”の基本は、自分の作品が人の心に届くことだと思っています。
簡単に言うと理屈じゃなく、言葉よりむしろ、歌を聞いてくれた後の笑顔や涙、高揚感のある表情が感動を物語ってくれると感じるのです。
作品には、それだけの信念を持って取り組まないと、伝わりません。
歌にはいろいろな種類があり、形は様々ですが、仕上げまでの工程は、実はとても繊細なわけです。

生徒達には、レコード会社やプロダクションなどのオーディション用に音を創る手伝いをしていますが、出来上がった段階で周りから賛辞されない作品は、まず確実にオーディションにも落ちますよね。

手元にある、私が18歳位で歌ったアルバムを聞くと、下手ながら歌に表情をつけようと必死なのがわかります。
「どうぞこのまま」は、20歳でレコーディングして、歌入れで苦労して30回位歌いましたね。
ダメ出しで打ち切られる直前でオーケーが出たのを覚えています。

生徒達はそれだけ時間がとれないから、その前に緻密な練習をしないとダメなわけですが…
自分の作品や歌に、そこまでこだわれる人はいるのかなぁと寂しくなります。

私も“ものつくり”の血が騒いでいるので、自分に向かっていきたいと思います。