幼馴染って遠い関係だったっけ。

こんな風に思ってしまうのは多分あなたのせい。

幼い頃は一緒に寝て遊んで抱きつき合ってた。

なのに…なんでこんなに距離があるの。


トントン


『ん?』


「また考えてたでしょ?」


『ねる…』


「素直になりなよ。好きなんでしょ?」


あの日…ねるは私にそう言った。

ねるは私たちのことをよく知ってる。

あの言葉で私は気づいた。

その日から何かが変わったんだ。


「まだ話せてないの?」


『話しかけようと思っても話しかけれないよ』


「久しぶり。でもなんでもいいからさ〜」


『もう何年話してないか知ってんの!?』


「軽く2年?」


『当たり』


「喧嘩してないのにね〜」


そう。私たちは喧嘩してない。

でも、いつの日かあなたは私を避けるようになった。

高校に入ってから1度も話したことがない。

だから余計気まずいの。


「じゃあさ、見に行かない?部活」


『無理無理』


「もうつべこべ言わないで行くよ!」


ねるに強引に腕を掴まれ体育館に。


キュキュキュ

ダムダムダム

キュッ

シュパッ


「ナイス〜!!!」


『ちょ、ねる!』


ねるの大きな声であなたと目が合った。

でも、すぐにそらされた。


「なんなの〜」


『はぁ…だから言ったじゃん。私帰る。』


「え!待ってよ!」


ねるを置いて私は教室に戻った。


『なんなのほんと。』


愚痴を口にしながら支度をする


ガラガラガラ


「はぁはぁはぁ…。疲れた〜」


『ねる』


「足速すぎ〜」


『ごめん』


「好きなら想い伝えなよ。待ってるから」


『え?』


「下駄箱。」


『…行ってくる。ありがと』


「頑張れ…」


私はねるに言われた通り下駄箱に向かうと…

私の大好きなあなたが居た。


『友梨奈…』


「っ…ねるじゃないの?」


『ねる?…なの?ねるが良かった?私なんかじゃ嫌だよね…ごめん。』


「ちがう。ねるがここに来いって。」


ねるが呼んでくれたんだ。

嬉しいけど…少し胸が痛い。

ねるが言ったから来たんだよね。

私の名前なんて呼んでくれない。

ねるばっか。


『でも私が呼んでも来なかったよね。ねるねる言って私の名前なんて呼んでくれない。そんなに嫌いになった?私なんかした?』


「…」


『もういい。帰る。』


その瞬間、大粒の雨が降ってきた。

私はお構い無しに雨に打たれに行く。

だって…
一刻も早くこの場から逃げ出したくて。


「…っ。待てよ!」


友梨奈は傘をさしながら走ってきた。


「風邪引く。」


そう言って傘に入れてくれた。


『優しくしないで。』


その優しさが私の胸を締め付けるから。


「あの時から私の中で何かが変わった。それから避けるようになった。自分の気持ちを押さえつけ殺すために…けど。久しぶりに話して気づいたの。」


『…』


「押し殺しちゃダメなんだって。この気持ちは素直に伝えなきゃって。」


『友梨奈…』


「理佐が好き」


チュ


私の頬をたくさんの涙が通り

雨と一緒に零れ落ちた。






















この雨はまるで…

















私たちを結ぶ糸のようだ。