子供の頃に見ていた本に、夕闇迫るセーヌ河の写真と共に載っていたアポリネールの詩で、マリー・ローランサンとの恋が終わった時のロマンティックな詩です。
"日も暮れよ、鐘も鳴れ、月日は流れ、わたしは残る" のフレーズがとても印象的で、いつか書いてみたいと思っていました。
以前他の書体で書こうとしましたがイメージがしっくりこなくて。フレンチ草書なら!と今回チャレンジしてみました。
細いラインの小さな文字なので周りの装飾は一切せず、くるみインク一色で文字のみのシンプルな仕上げ。地味かな〜と思いつつ…
最終行に小さくギルディング(金箔)。
フレンチ草書はとっても難しくて、文字のチョイス、大文字の位置、つなぎ方…怪しいながらも何度も試行錯誤を重ねたけれどまだまだ怪しい…(>_<)
美しい詩ですので、全文ご紹介致しますね。
"ミラボー橋"堀口大學 訳
ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ
われらの恋が流れる
わたしは思い出す
悩みのあとには楽しみが来ると
日も暮れよ、鐘も鳴れ
月日は流れ、わたしは残る
手に手をつなぎ
顔と顔を向け合おう
こうしていると
二人の腕の橋の下を
疲れたまなざしの無窮の時が流れる
日も暮れよ、鐘も鳴れ
月日は流れ、わたしは残る
流れる水のように恋もまた死んでいく
生命ばかりが長く
希望ばかりが大きい
日も暮れよ、鐘も鳴れ
月日は流れ、わたしは残る
日が去り、月がゆき
過ぎた時も昔の恋も
二度とまた帰って来ない
ミラボー橋の下をセーヌ河が流れる
日も暮れよ、鐘も鳴れ
月日は流れ、わたしは残る
"カリグラフィー教室 ミ・タント作品展"
〜手書きアルファベットの世界〜
【日時】2019年9月27日(金)〜29日(日)
10:00〜18:00 (最終日〜15:00)
【場所】エル・おおさかギャラリー