明治天皇の前の天皇、つまり江戸時代最後の天皇となったの
が、孝明天皇です。あまり語られていませんが、この人はユ
ニークです。そして暗殺されたという説も、かなり信憑性を
持って伝えられています。
まずどのようにユニークだったかというと、江戸幕府の存続
を強く願っていて、自らが天皇でありながら「天皇制」には
大反対という考え方だという点です。
この考えはペリー来航の後も、全く変わることがありません。
大老の井伊直弼が日米修好通商条約を結び、開国に踏み切っ
た時には、大激怒したそうです。
一時は「譲位する」と言い出し、周囲を慌てさせました。ま
た井伊直弼が桜田門外の変で暗殺されて幕府の権威が失墜し
た時には、自分の娘を第14代将軍の徳川家茂に嫁がせました。
皇室が後ろ盾になることで、幕府を支え続けていったのです。
そんな孝明天皇は、幕府を倒して天皇制に移行しようとする
人たちにとって、邪魔でしかありませんでした。何せ天皇自
身が「天皇制」に徹底して反対し、幕府存続を強硬に訴えて
いるのですから。
それでいて何故「明治維新」が断行されたのか、孝明天皇が
気が変わったのか?違います。亡くなってしまったのです。
倒幕派、維新派にとって、あまりに都合の良い死。しかも怪
しげな急死だったのです。様々な疑惑が生じるのは、当然で
しょう。その辺は、明日書こうと思います。