長年1192年とされて来た鎌倉幕府成立年が、認識変更さ
れていますね。しばしばそれが話題になっていますが、実は
成立年が定かでないのは鎌倉幕府だけでなく、江戸幕府も同
様と言えなくないようなのです。
1192年というのは、源頼朝が征夷大将軍として即位した
年です。この征夷大将軍という座は天皇が任命するものなの
で、明治以降の天皇制の観点から1192年を幕府成立年と
して来たのですが、この時点で実際は皇室や朝廷の力が完全
に失われていたため、将軍即位がそこまで大きなものではな
く、幕府成立に結びつけるほどではないと考えられ、改めら
れようとしているのです。
それでは江戸幕府は、どうなのでしょうか?成立年は、16
03年とされています。しかしこれは、徳川家康が征夷大将
軍に即位した年なのです。つまりこの年を幕府成立年に定め
るということは、鎌倉幕府成立を1192年と定めるのと同
じになってしまうことになります。
実際に中世までは征夷大将軍即位と幕府開設を関連させて考
える風潮はなく、従って鎌倉幕府成立年を改めるのは正当で
しょう。しかしそれなら、江戸幕府の成立年も改めなくては
いけなくなります。
この時代は鎌倉時代よりはるかに朝廷の権力も弱くなってい
るのだし、よけいにそうなると家康の将軍即位と幕府成立は
分けて考えなくてはいけなくなるのです。
関ヶ原の戦いが終わった時点で家康の天下統一が達成された
と考えられているため、これを「幕府成立年」と考えるべき
とする声が、高まっているようです。確かに、それは大いに
言えると思います。