戦国時代までは、陰陽師の話や占術師、呪術師の話がたくさ
ん後世に伝えられていますが、江戸時代になるとあまりそう
した人たちの活躍した話が伝えられていません。
しかし占術や陰陽道、呪術といったものが、なくなったとか
廃れたというわけでは、ありません。人々の中に、目に見え
ない世界の話は相変わらずしっかり根付いていました。
ただそれまでと大きく違うのは、庶民化したことです。古代
から戦国時代まで、陰陽師や占術師、呪術師といった者たち
は、権力者のお抱えであったり、そこまで密接でなくても権
力者の力となることで、名を上げました。お得意さんが、権
力者だったのです。だから、記録として後世まで残ったとい
えましょう。
しかし平和な江戸時代になると、武士や幕府の最高権力者た
ちも日頃の危険が少なくなったため、凄い能力を持つ占術師
や呪術師、陰陽師を頼るほどの危機感を、感じなくなってい
たのです。従って戦術も呪術なども、庶民が気楽に手を伸ば
せるようになりました。というか、民間信仰と呪術や占術が、
習合して溶け合っていったのです。
そのため街中には、易者や人相見などの占術師が多く営業を
するようになって行くのでした。また七福神や稲荷など、多
くの流行神も生まれて、庶民の暮らしに溶け込んでいくので
した。