道鏡は称徳(孝謙)天皇の病気を実際どのような方法で治したのでしょうか? | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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空海が呪術の中でも「宿曜術」というものを特に重要視して

いたことは述べましたが、宿曜術の大先輩が日本にはすでに

いました。空海とは対照的に悪評ばかりが後世に伝えられて

しまっていますが、弓削道鏡です。

 

孝謙天皇、後に称徳天皇として再び即位した女帝に寵愛され

て世を乱したとされ、挙句の果てには性愛スキャンダルにま

でエスカレートして語られますが、それらはほぼ濡れ衣でし

ょう。道鏡が優れた看病禅師として、元々朝廷に広く貢献し

ていました。

 

道鏡の運命を良くも悪くも変えたのは、孝謙上皇の病気を治

したことです。女帝は最初孝謙天皇として即位し、後に称徳

天皇として再即位するのですが、道鏡が治療をしたのはその

中間の時だったので「孝謙上皇」という立場の時期でした。

 

道鏡は宿曜術を用いて孝謙上皇を治したという記録だけが残

されていますが、具体的に何をしたかという点にはあまり触

れられていません。ただし呪術であったことだけは、確かで

す。

 

道鏡は弓削家の傍流ですがその弓削家自体は物部家の傍流で

もあるので、一応それなりの血筋と考えて良いでしょう。少

なくとも藤原家よりは、由緒があります。

 

若い頃に道鏡は故郷に近い葛城山にこもって、如意輪法の苦

行に取り組んでいます。密教の経典にあるものの他、薬草を

服して特殊な能力を身に着けています。いわば神霊治療に属

すもので、現代で言う「ホリスティック医学」のようなもの

でしょう。

 

これに占星術である宿曜法を加えることで、道鏡は独自の宿

曜秘法を完成させました。具体的には、「単なる占星術では

なく、星に働きかけて動きを左右する方法」ということだそ

うです。その表現が果たして具体的なのかは疑問でもあるの

ですが、当時としては王道だったようです。

 

今で言えば、スピリチュアルと医療を組み合わせた開運法で

しょう。また「気力を充実させることで免疫力を高める」と

いうものなので、現代にも見られる方法の1つではあります。

孝謙上皇はただでさえ精神力は並外れて強かったので、そう

した心理療法はひときわ効果があったと思います。そこに道

鏡の医学知識と呪術の他、優れた話術が上皇の自然治癒力を

強烈に後押ししたのだと思います。