先日、「サイコパス」について書きました。トランプがそれ
に思い切り当てはまるということも。ただ歴史に関する本を
読むと、織田信長を「サイコパス」と見なす説を、しばしば
見ます。それは大いなる誤解です。
サイコパスの10の特徴を、ここでまた挙げます。
①表面上は口達者
②利己的・自己中心的
③自慢話をする
④自分の非を認めない
➄結果至上主義
➅平然と嘘をつく
⑦共感が出来ない
⑧他人を操ろうとする
⑨良心の欠如
➉刺激を求める
ということだそうですが、織田信長に当てはまるのは、①表面
上は口達者と⑧他人を操ろうとすると➉刺激を求めるの3点だ
けです。
ただし①の口達者に関しては、表面だけではないでしょう。家
康によると、「話し合いの達人」ということです。⑧の他人を
操るに関しても、それが大将の仕事でもあるし、しっかり相手
の意見を聞いた上で説得して操っているというのが徳川家康の
証言として残っています。
「部下が失敗をしても、それが一生懸命やっての失敗ならば、
叱るのでなく次の成功に導いてあげるのが、上に立つ者の務め
である」
というのが、織田信長の名言にあります。なので、結果至上主
義ではありません。また、共感性も、感じられる発言です。
織田信長には「酒豪」の逸話と「下戸」との証言の両方が、あ
ります。実際には、酒豪だけどしばしば飲んで乱れて荒れたこ
とがあるため、反省して断酒をしたというのが実情だそうです。
なので、自分の非を認めています。
数々の信長に関するエピソードを見ても、彼が嘘つきとは思え
ません。勿論嘘を全くつかない人はいないし、「嘘も方便」と
いう言葉もあります。ただし信長が平然と嘘をつくタイプでな
いことは、確かなようです。何故なら、嘘を極端に嫌い、常に
本音が先走ってしまうタイプであることは、確かです。
そして彼を「宗教嫌いで無神論者」のように言う人もいますが、
その理由は比叡山延暦寺の僧兵と戦ったり、一向宗の僧兵とも
戦っているからでしょう。
ただし比叡山延暦寺の僧兵は、当時かなりのならず者と化して
いたし、一向宗の僧兵も、暴れん坊だったようです。信長は宗
教的儀式もしばしばやっていますし、信心がなかったわけでは
ありません。むしろその方面に真面目で、それだけに偽の宗教
家を極端に嫌う面が、多々あったようです。つまり、良心は欠
落しているのでなく、過剰にあり過ぎるためにしばしば極端な
行動に出るのだと思います。
なので織田信長は、サイコパスに程遠いと思われます。トラン
プとは、全く違うでしょう。