伊豆半島の西海岸に、「堂ヶ島」という場所があり、ここは
「伊豆の松島」と呼ばれるくらいに絶景の場所です。
1つの島ではなく、いくつもの島が続いて変化に富んだ風景
となっています。この「堂ヶ島」の中に、「亀島」「中ノ島」
「高島」という3つの島がくっつくようにして浮かんだ場所
があり、この3つを合わせて「三四郎島」と呼ばれているそ
うです。
その呼称は、或る哀しい伝説に由来しています。それは鎌倉
時代より前、源頼朝が伊豆に配流されている時の伝説でした。
源頼朝の家臣で「伊豆の三四郎」と呼ばれる若者が、この島
に住んでいたそうです。三四郎は陸地の小雪という町娘と恋
仲になり、しばしば島で会っていたということです。
陸地と普段は海を隔てていた島に小雪は、干潮時に出来る砂
州を利用していました。干満の差が激しい大潮の日ですとこ
の砂州が干潮の前後2時間ほど歩いて渡るのも可能なくらい
現れるので、それを利用して渡っていたということです。
ところが或る日三四郎に、頼朝から出陣を命じる書状が届い
たそうです。小雪はそれを一刻も早く三四郎に渡そうと思い
ました。そのため、大潮の時まで待てず、無理に海を渡ろう
として、波に呑み込まれてしまったというのです。
この悲話に由来し、「三四郎島」という名前が出来たという
ことです。