清少納言が著した『枕草子』の117段に、温泉の名前が挙げ
られています。
「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」
とあるのが、それです。
有馬の湯は今もその名で親しまれる「有馬温泉」のことでしょう。
玉造の湯は、出雲国にある温泉かと思われます。
もう1つの「ななくりの湯」に関しては、どこなのか?有力なのは、
三重県の「榊原温泉」です。
鎌倉後期に書かれた『夫木和歌抄にはこの榊原温泉がある地
を「ななくり」という呼び方で記しており、この地名は平安時代か
ら続いていたものと思われます。
平安時代の貴族はあまり入浴をしなかったとも言われ、しかも
温泉浴は楽しむものではなく「身も心も清める」ためのもので何
か重要な仕事や作業を控えた時に行なうもの。つまり厳かなも
のだという言われ方をされています。
しかし清少納言のその書き方を見ると、娯楽の要素もすでに入
っていたのではないかと思わせます。ただ彼女が本当に温泉巡
りをしていたかは怪しく、知識や想像の中で特に好みと思う温泉
を挙げていた可能性も高いです。
いずれにせよ、この3つの温泉が平安時代から「名泉」とされて
いたことは、間違いありません。
ミスターマニアック山科ですのmy Pick