家具のたんすは、「一竿、二竿」と数えます。その理由は、
側面に金具がついていて、竿を通して持ち運びができる
ようになっているからです。
この形式になったのは古く、江戸時代の1657年、明暦の
大火があった年からだそうです。
それまでのたんすは下に車がついている、「車だんす」と
いうものでした。車がついていて転がすだけの方が運び
やすいと思われがちですが、実はそうでもないようです。
明暦の大火の際、人々は我先に車だんすを持ち出したの
で、通りが大渋滞になってしまいました。そこに火が回り、
被害がいっそう拡大したのです。便利なようで方向転換が
しにくいとか坂道が難しいなど、意外と厄介なのでした。
従って幕府は、車だんすを禁止します。そして考え出された
のが、竿を通して運び出す「竿だんす」でした。この方が、自
在な運び方が出来て、便利だったそうです。
火事の時だけでなく、来客の時に広くスペースを使うため、
移動して場所を確保するなど、竿だんすの方がやはり重宝
したそうです。