子供の頃、「古狸(ふるだぬき)のことを貉(むじな)」と言
うんだよ」と、祖母に教わりました。
それは確かにそのようですが、元々「貉」という言葉は佐
渡の言葉でして、佐渡島では古い新しいに関係なくタヌキ
を全てムジナと呼んでいたそうです。
そして佐渡では貉が人に慕われたようで、各所に祀られて
います。その代表的な例の1つが、徳和という場所の東光
寺に祀られた善達貉です。
善達は僧侶に化けて禅問答をするのが趣味というインテリ
貉でして、そうして禅問答をしながら旅をしていました。
やがて善達は、旅をやめて東光寺に住み着くようになるの
です。それは同寺の和尚の力を認めたからでした。
僧侶に化けた善達は、東光寺の和尚に禅問答を仕掛けて
は負けを繰り返しました。しかし善達は腹を立てるどころか
良い勉強になると思い、禅問答を懲りずに続けながら修行
をしていったそうです。
そしてやがて貉の善達は、僧正になったと伝えられています。
現在東光寺の境内には「善達堂」というのがありまして、勿論
善達を祀ったものです。善達は、「学問の神様」として、信仰を
集めているそうです。