静岡県三島市にある箱根山麓の「箱根田遺跡」から、ユニー
クな土器が発見されています。
外面に、髭面のかなり人相の悪い男の顔が、描かれているの
です。筆で描かれていて、疫病神を表わしていると思われます。
これを川に流し去ることで、災害から守ろうとしていたようです。
何を守ろうとしていたかというと、大型倉庫です。この辺は大き
な川がいくつも流れていて、水運が良かったのです。従って奈
良時代の後半からは、官庁から請け負った公的な倉庫群が存
在していたようです。
箱根山麓は縄文時代から栄えていて、三島市のこの箱根田遺
跡の辺りもその1つでした。そして国分寺や国分尼寺が創建さ
れてからは、飛躍的に発展しました。そして伊豆の産業や経済
の、中心になっていったのです。
勿論先日も書きました「人形(ひとがた)」も、多数使用されてい
ます。ただ祭祀となると、それらと共に「人面土器」も使用され、
川に流して安全を祈願したのです。
髭面の悪役顔は、奈良時代に人々が思い描いたまさしく「疫病
神」のイメージだったのですね。