徳川家康は余力を残して駿府城に隠居しましたが、それから
の彼の一番の趣味は薬の調合でした。漢方薬づくりに、没頭
していたのです。
駿府城には、人参、大黄、甘草など、漢方薬の基本的な材料
が160種も残っていました。さらには、薬草を調合して漢方薬
をつくるための道具や、分量を図るための天秤皿などの備品
も、備わっていました。
家康はそれらの薬草と道具を用い、『和剤局方』や『本草綱目』
といった参考書で研究を重ねながら、漢方薬づくりに励んでい
たのです。
皮膚の切り傷に効く軟膏の挿明膏や、胃腸が悪い時に効くとさ
れる万病丹、寛中散、銀波丹、挿効散などの処方は、今でも伝
わっています。
中でも精力減退に効く漢方薬としてつくり上げた「八之字薬」は、
今日の「八味地黄丸」です。これは今でも薬局で売られています。
発明したのは、徳川家康なのでした。