最近はもう使われなくなったでしょうか?
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます」
という約束のまじないのようなもの。昔はよくやったそうで、
私が子供の頃まではこの儀式がまだ残っておりました。
これ、始めたのは江戸時代の吉原の遊女だと言われてい
ます。「げんまん」というのは、漢字で「拳万」と書きます。
「拳」はこぶしのことで、いわば「拳骨(げんこつ)」です。遊
女が気に入った客に対し、また来ること、他の遊女に浮気
しないことを約束させる時に使ったのが、冒頭の「指切りげ
んまん」の儀式でした。
「石橋を壊すタイプ」という笑える表現が、あります。「石橋
を叩いて渡る」はよく言いますね。慎重な人に使います。そ
れを通り越し、「叩き過ぎて石橋が壊れる」という意味で、
慎重さが度を超えている人に対し、「石橋を壊す」と揶揄す
るのです。
これよりは、現実味がありますね。たとえ遊女がひ弱な体力
の女性で客が屈強な男性だとしても、1万回拳骨で殴られれ
ば、顔の骨は壊れます。石橋よりはるかに壊れる確率は高
いです。
この遊女が考えた罰則は、拳骨を1万回喰らわした後で針を
千本飲ますわけです。死にますね。要するに、遊女が行なっ
た死刑宣告が、「指切りげんまん」でした。